林部智史
希代のシンガーソングライター 小椋佳、日本を代表する作詞家 阿久悠 と 作曲家 都倉俊一ら 偉大な音楽家たちが紡いだ曲を歌手として表現してきた“泣き歌の貴公子“林部智史。
今年、2023年2月には、デビュー7周年を迎えた。
林部智史が、2023年の特別企画として、世界遺産の嚴島神社を舞台に自身初の奉納演奏会『林部智史 嚴島神社 奉納演奏会』を、2023年 5月27日〜28日に行った。第一夜「古からの美しき調べ」では和楽器編成、第二夜「明日へ架ける歌」は洋楽器編成という構成。
嚴島神社での歌唱を意識して制作されたという 小椋佳がを書き下ろした「慈しむ人 美しい人」の初披露をはじめ、林部智史の美しき歌声と和楽器演奏による特別なステージとなった 第一夜 「古からの美しき調べ」は、2023年 5月27日(土)に、CS「歌謡ポップスチャンネル」にて独占生中継された。
この第一夜の全14曲に加え、当日の舞台裏や本人コメントなど、メイキング映像を織り交ぜた完全版『【完全版】林部智史 嚴島神社 奉納演奏会 第一夜「古からの美しき調べ」』が、2023年7月1日(土)17時〜 CS「歌謡ポップスチャンネル」にて独占放送される。
番組情報
【完全版】林部智史 嚴島神社 奉納演奏会 第一夜「古からの美しき調べ」
2023年 7月1日(土)17:00 〜 18:45
CS「歌謡ポップスチャンネル」
2023年 5月27日 広島県 廿日市市「嚴島神社」にて収録。
<放送予定曲>
あいたい
荒城の月
四季の歌
あのころ
慈しむ人、美しい人
少しは私に愛をください
愛燦燦
孤高の鷹
ラピスラズリの涙
一本の鉛筆
希望
人に在る為
…… ほか
※番組内容・放送スケジュールは都合により変更される場合がございます。あらかじめご了承ください。
林部智史 ロングインタビュー (2021年)MUSIC GUIDE
オフィシャル ライブ レポート
林部智史 嚴島神社 奉納演奏会 第一夜「古からの美しき調べ」
2016年のデビュー以来、「泣き歌の貴公子」と呼ばれ、高い人気を誇る林部智史が、5月27日、28日の両日に広島県宮島の嚴島神社・高舞台で奉納演奏会を開催、自身初となる世界遺産での歌唱を果たした。
1400年以上の歴史があり、本殿をはじめ6棟の国宝を有し、海上に浮かぶ大鳥居の姿も名高い嚴島神社は、1996年にユネスコ世界文化遺産に登録された由緒ある場所。その1週間前には広島でG7サミットも開催、各国首脳が同地を訪れている。日本三景にも数えられる風光明媚な、かつ世界的にも注目を集めたこの地で、林部は平和の願いを込め、その美しい歌声を響かせた。
林部は2018年より童謡や古来より歌い継がれる日本の歌をレパートリーにした叙情歌の旅を続けてきたが、その過程で「いつかこの地で歌えたら」との想いを強くしていた。2020年に開催が決まるも、新型コロナウイルスの影響で一旦は中止となり、今回、3年越しのリベンジライブが決定した。
二夜連続開催となったこのライブ、初日は和楽器を中心に、2日目は洋楽器を用いてのステージとなったが、歌謡ポップスチャンネルでは一夜目の模様を独占生中継。 会場は、日中は暑いぐらいであったが、ライブがスタートした午後7時には瀬戸内の風が吹き込む快適な気候となった。 ピアノに追川礼章、尺八に瀧北榮山、三味線に岩田桃楠の演奏をバックに、荘厳な雰囲気の中、大改修工事を終え眼前の海上に立つ大鳥居を正面に見ながら林部が歌い始める。 和楽器編成での演奏会であるため、この日のために特注で作られたという林部の衣装は、白色をベースにした高貴な装い。 デビュー曲「あいたい」の繊細な歌声が響き渡ると、高舞台を囲む平舞台に着席した900人の満員の観客もじっくりと耳を傾ける。 続いて尺八の幽玄な響きで始まる瀧廉太郎の名曲「荒城の月」、そして76年に芹洋子が大ヒットさせた「四季の歌」とステージは続き、周囲は次第に夕景から夜の静寂に包まれる。
文部省唱歌「ふるさと」を歌い終えると、「僕もですけど、皆さんも、とても緊張しますね」と異色のステージに立った気持ちを偽りなく語り、自作曲「あのころ」に続いては、いつかこの地で歌いたい、という想いの強かった「慈しむ人 美しい人」を披露。この曲は2021年にシンガー・ソングライターの小椋佳が、全曲・林部のために書き下ろしたアルバム『まあだだよ』に収録されたナンバーで、この日初めて人前で披露。林部は感慨深げに、噛み締めるように歌う。
そして、その小椋佳が林部に迎え入れられステージに呼び込まれた。思わぬサプライズゲストに会場からもどよめきと歓声が起こる。今年の1月にラストツアーを終えた小椋だが、林部の熱烈なオファーに応える形で出演が決定。濃紺の作務衣に身を包んだ小椋は「もう79歳。父親が死んだ歳なんです。筋肉も落ちて、生きてることがしんどいよ」と軽妙なトークで笑いを誘い、小椋の名曲「少しは私に愛を下さい」を林部とデュエット。「林部さんは若く歌が上手い、高音がとてもいい」とその歌唱を絶賛し、美空ひばりに提供した「愛燦燦」をソロで歌い上げた。語るように歌うその姿は、まさしく詩人の歌。深々と頭を下げる林部に見送られ、ステージを後にした。
後半は、三味線のソロから始まる「孤高の鷹」。小椋と盟友の堀内孝雄とのコンビによる楽曲で、次いで小椋が林部に書き下ろした「ラピスラズリの涙」へと続く。思えば、小椋佳の詞を歌うシンガーは、布施明、美空ひばり、堀内孝雄など、美しい日本語の1つひとつを丁寧に歌える名歌手ばかり。林部もその系譜に連なる繊細でしなやかなシンガーであることを再確認させられる。柔らかで儚げな声質と美しい高音域を持ちながら、自作曲「風車」では、ラストをノーマイクで歌う圧巻の歌唱を披露。透明なその声が嚴島神社を包む豊かな自然、穏やかな瀬戸内の海に響き渡った。
続いて歌われたのは、「一本の鉛筆」。美空ひばりが1974年に、第一回「広島平和音楽祭」に出演するにあたり、松山善三と佐藤勝のコンビによって作られた、広島の原爆投下と平和への祈りについて歌われた楽曲である。ひばりは同音楽祭に、亡くなる前年の88年にも出演、体調不良の中、反戦と平和への願いを込めて歌っている。林部は事前に平和記念公園を訪れ、今回のライブで平和への祈りを込め、この曲を披露した。
岸洋子の名曲「希望」を力強く歌い終え、ラストは自作の奉納曲「人に在る為」で幕を閉じた奉納演奏の第一夜。客席に、そして社殿に向かい深々と一礼して去っていく林部の姿は、繊細さと逞しさの両方を兼ね備えたシンガーの表情をしていた。
この日の模様は、歌謡ポップスチャンネルにて7月1日(土)午後5時より『【完全版】林部智史 嚴島神社 奉納演奏会 第一夜「古からの美しき調べ」』として、当日の舞台裏や本人コメントなど、メイキング映像を織り交ぜた完全版が放送される。