John Coltrane ジョン・コルトレーン
ジャズ史に輝く名盤をいくつも残し、ジャズ史上最大のカリスマとして知られるサックス奏者のジョン・コルトレーン。
中でも、とくに出色の一枚として名高い『至上の愛』(A Love Supreme)の 1965年10月2日に シアトルで録音された未発表ライヴ音源が発掘され『至上の愛 ~ライヴ・イン・シアトル』として10月8日に世界同時リリースされる。
本日、8月26日、プレ・オーダーが開始となり、「パート1:承認(Acknowledgement)」のスペシャル・エディット・バージョンが先行シングル曲として解禁となり、日本盤オリジナル・ティザーが公開された。
ジャズ・ファンでなくとも一度は耳にしたことがあるという人も多い『至上の愛』は、1965年にリリースされ、現在も多くのリスナーを虜にし続けている名盤中の名盤で、『ローリング・ストーン誌が選ぶオールタイム・ベストアルバム500』では47位にランクイン。
アメリカを代表する科学、産業、技術、芸術を研究/展示しているスミソニアン研究所のコレクションにも選ばれ、アメリカ歴史博物館には“アメリカ史の宝”として所蔵されている、まさに音楽史に刻まれる一枚。
これまで『至上の愛』は、スタジオ盤と65年のフランスのジャズ・フェスティヴァルでのライヴ録音の2種類の演奏がリリースされている。
『至上の愛』はジョン・コルトレーンにとってもとても意味深い作品で、彼はこの作品を「神への捧げもの」とし、レコードの内ジャケットに作品を紐解く糸口となるような自作の詩を掲載したが、このようなことをしたのは後にも先にもこの作品のみ。
そして、今回の発見が「奇跡」と呼ばれるのは、その演奏の希少性にある。
コルトレーンは公の場で『至上の愛』を演奏することは滅多になく、自分の感情、バンド・メンバーのコンディション、会場の雰囲気、そして何より観客がそれを求める時にしか演奏しないと決めていたと言われ、ライヴ・ハウスやジャズ・クラブでこの組曲のすべてが演奏されたという記録はこのテープが発掘されるまで残っていなかった。
当時は録音されたこと自体が公に知られておらず、録音を行ったのは、コルトレーンがシアトルに滞在していた1週間の間、コルトレーン・バンドの前座(昼の公演)を任されていた、自身もサックス奏者でコルトレーンの友人であったジョー・ブラジルという人物。
公演最終日の当日、自分のバンドを録音しようと録音機材をセットしたところ、バンド・メンバーであったカルロス・ワードがコルトレーンのステージでも演奏をすることになったため、結果、彼は録音機材を回し続けることに。
公演が行われたシアトルの「ペントハウス」にはオーナーの音楽好きが高じて当時最先端だった録音機材が一式揃っており、良好な音源が後世に残されることとなった。
しかし、もともとリリース目的ではなくプライべートな記録用に録音したため、ブラジルは2008年に亡くなるまでテープは彼の自宅に保管されており、生前、親しい友人にこのテープを数回聴かせたことがあったことから、それが噂として広まって今回の発掘に至った。
また、今回のライヴ音源を貴重たらしめている理由はそのアバンギャルドさにもある。参加メンバーは、ジョン・コルトレーン率いる黄金のカルテット+ファラオ・サンダース(ts)~カルロス・ワード(as)~ドナルド・ギャレット(b)の計7名。
この公演はコルトレーンのフリー・ジャズ宣言と言われるセンセーショナルなアルバム『アセンション』のレコーディングの後に行われ、今回の作品はこれまで音源として残っているスタジオ盤・ライヴ盤とも全く異なるアバンギャルドながらも圧倒的な力強いサウンドが特徴。
生涯、新しい挑戦をやめることのなかったコルトレーンの生き様を表現している重要な発見で、まさにこれまで誰も聴いたことのない鮮烈な『至上の愛』なのである。
今年は、コルトレーンの生誕95周年にもあたる。その誕生日である 9月23日 (木・祝) に、ブルーノート東京にて記念イベント「Re:コルトレーン」が開催される。
ジャズ・シーンの未来を担う精鋭7名が集結し、4本のサックス・アンサンブルでジョン・コルトレーンのオリジナル・ナンバーを大胆に再解釈するライヴ。当日のステージでは、「至上の愛」も演奏予定。
ライヴに参加する4名のサックス奏者のインタビューが、ブルーノート東京のHPにて公開されている。
リリース情報
John Coltrane ”A Love Supreme Live In Seattle”
ジョン・コルトレーン 「至上の愛 ~ライヴ・イン・シアトル」
アルバム CD(SHM-CD)2021年10月8日 全世界同時発売 ⇒ 2021年10月22日 全世界同時発売
UCCI-1052
2,640円(税込み)
Impulse / UNIVERSAL MUSIC
<収録曲>
1 パート1:承認 / Acknowledgement
2 インタールード / Interlude
3 パート2:決意 / Resolution
4 インタールード2 / Interlude2
5 パート3:追求 / Pursuance
6 インタールード3 / Interlude3
7 インタールード4 / Interlude4
8パート4:賛美 / Psalm
<パーソネル>
ジョン・コルトレーン (ts, ss, per)
マッコイ・タイナー (p)
ジミー・ギャリソン (b)
エルヴィン・ジョーンズ (ds)
ファラオ・サンダース (ts, per)
カルロス・ワード (as)
ドナルド・ギャレット (b)
録音:1965年10月2日、ワシントン州シアトル、ペントハウスにてライヴ録音
先行シングル「パート1:承認 / Acknowledgement」
イベント情報
Special Session vol.2
for 60th Anniversary of “impulse!” records, “Re:COLTRANE”
featuring Tomoaki Baba, Akihiro Nishiguchi, Akiha Nakashima, Kei Matsumaru, David Bryant, Takashi Sugawa & Shun Ishiwaka
インパルス・レコード 創立60周年記念 ライヴ・シリーズ vol.2「Re:コルトレーン」
featuring 馬場智章、西口明宏、中島朱葉、松丸契、デイヴィッド・ブライアント、須川崇志 & 石若駿
2021年 9月23日 (木・祝) ブルーノート東京
[1st] Open 4:00pm / Start 4:45pm [2nd] Open 6:30pm / Star t7:30pm
[会場観覧] ¥6,600 (税込)
[配信] 一般:¥2,500(税込) / Jam Session会員:¥1,500(税込)
※ 有料配信予定は、2ndショウのみ。
※ アーカイブ配信視聴期間:9.26 sun. 11:59pm まで。
※ アーカイブ配信の内容はライヴ配信と異なる場合があります。
<MEMBER>
馬場智章 (テナー・サックス、アレンジ)
西口明宏 (テナー・サックス)
中島朱葉 (アルト・サックス)
松丸契 (アルト・サックス)
デイヴィッド・ブライアント (ピアノ)
須川崇志 (ベース)
石若駿 (ドラムス)
コルトレーン『ジャイアント・ステップス』60th エディション MUSIC GUIDE
The Best of Impulse Records 各配信サイト