オムニバス ベスト 「SUMMER BREEZE -AOR- ULTIMATE URBAN FAVORITES 」 -MUSIC GUIDE ミュージックガイド

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ニューリリース情報

オムニバス・ベスト!

Various Artists
“SUMMER BREEZE -AOR- ULTIMATE URBAN FAVORITES”

オムニバス

Album
『 SUMMER BREEZE
 -AOR- ULTIMATE URBAN FAVORITES』


★ タワーレコード企画・選曲による究極の AOR コンピ盤!
★ 1970〜80年代 AOR の名曲ばかり、2枚組、全35曲収録!
★ 貴重な日本初CD化も含む!
★ 最新リマスター音源!
★ AOR マニア を唸らせる見事なコンパイル!



リリース情報

Various Artists
オムニバス「SUMMER BREEZE -AOR- ULTIMATE URBAN FAVORITES」

【タワーレコード専売商品】

アルバム CD(2枚組 全35曲)
2020年07月03日発売
SIC7 16~17
¥2,640(税込)
Sony Music Japan International

曲目解説:矢口清治/歌詞・対訳付/最新マスタリング音源


収録曲

DISC ONE
01 ロウダウン/ボズ・スキャッグス◆ Album『シルク・ディグリーズ』 (1976) より
02 風のシルエット/ボビー・コールドウェル Album 『イヴニング・スキャンダル』 (1978) より
03 ウーマン・ニーズ・ラヴ/レイ・パーカーJr.&レイディオ Album 『ウーマン・ニーズ・ラヴ』 (1981) より
04 マジック/ディック・セント・ニクラウス◆ ※関西発日本ヒットのAORソング Album 『マジック』 (1979) より
05 カサブランカ/デイン・ドナヒュー Album 『デイン・ドナヒュー』 (1978) より
06 ハート・トゥ・ハート/ケニー・ロギンス◆ ※デイヴィッド・フォスター、マイケル・マクドナルドと共作 Album 『ハイ・アドヴェンチャー』 (1982) より
07 ビゲスト・パート・オブ・ミー/アンブロージア◆ Album 『真夜中の晩餐会』 (1980) より
08 恋は雨模様/メリサ・マンチェスター ※スティーヴィー・ワンダー作曲Album 『あなたしか見えない』 (1978) より
09 スウィート・フィーリング/デニース・ウイリアムス ※ジョージ・デュークと共作 Album 『シークレット・ラヴ』 (1983) より
10 キッス・オブ・ライフ/シャーデー Album 『love deluxe』 (1992) より
11 そよ風の贈りもの/ホイットニー・ヒューストン Album 『そよ風の贈りもの』 (1985) より
12 シーイング・ユー/ジミー・メッシーナ◆ Album 『オアシス』 (1979) より
13 セイリング/クリストファー・クロス◆ Album 『南から来た男』 (1979) より
14 ふたりだけの夜/ロビー・デュプリー Album 『ふたりだけの夜』 (1980) より
15 テル・ミー・ザット・ユー・ラヴ・ミー/スティーヴ・ギブ◆ Album 『モノクロ―ム』 (1979) より
16 アイ・ゴー・クレイジー/ポール・デイヴィス◆ Album 『アイ・ゴー・クレイジー』 (1977) より
17 トワイライト・ハイウェイ/ボズ・スキャッグス◆ ※トヨタ『クレスタ』CM曲 Album 『ミドル・マン』 (1980) より

DISC TWO
01 彼女はウェイト・フォー・ミー/エアプレイ◆ Album 『ロマンティック』 (1980) より
02 ジョージー・ポージー/TOTO Album 『宇宙の騎士』 (1978) より
03 素顔のままで/ビリー・ジョエル Album 『ストレンジャー』 (1977) より
04 悲しきソープ/ナイジェル・オルソン Album 『涙のダンシング・シューズ』 (1979) より
05 イッツ・ザ・ラヴ/カール・アンダーソン★ Album 『オン・アンド・オン』 (1984) より
06 ラブ・ネバー・フェルト・ソー・グッド/ジョニー・マティス★ ※マイケル・ジャクソン、ポール・アンカ共作 Album 『スペシャル・パート・オブ・ミー』 (1984) より
07 キッス・オン・マイ・リスト/ダリル・ホール&ジョン・オーツ Album 『モダン・ヴォイス』 (1980) より
08 マイ・エヴァ・チェンジング・ムーズ/ザ・スタイル・カウンシル Single 「マイ・エヴァ・チェンジング・ムーズ」 (1984) より
09 フライ・ウィズ・ミー/ビル・チャンプリン Album 『独身貴族』 (1978) より
10 オン・アンド・オン/スティーブン・ビショップ◆ Album 『ケアレス』 (1976) より
11 ロスト・イン・ラヴ/エア・サプライ Album 『ロスト・イン・ラヴ 』 (1980) より
12 プリーズ Mr. DJ/レイ・パーカーJr.&レイディオ Album 『ウーマン・ニーズ・ラヴ』 (1981) より
13 セカンド・チャンス/ポール・アンカ ※デイヴィッド・フォスター、マイケル・マクドナルド共作 Album 『ウォーク・ア・ファイン・ライン』 (1983) より
14 セイラーズ・ソング/ペイジズ Album 『フューチャー・ストリート』 (1979) より
15 セクシー・アイズ(アルバム・バージョン)/ドクター・フック★ Album 『愛はいつも涙』 (1980) より
16 ただひとつの願い/アンジェラ・ボフィル★ Album 『アンジー』 (1978) より
17 暗黒への挑戦/アース・ウィンド&ファイアー Album 『暗黒への挑戦』 (1975) より
18 アフター・ザ・ラヴ・イズ・ゴーン/エアプレイ◆ Album 『ロマンティック』 (1980) より

★日本初CD化音源
◆小説『なんとなく、クリスタル』登場曲 or アーティスト


タワーレコード 商品ページ(全曲パーソネルあり)


曲目解説(メーカーインフォメーション)

<DISC 1>

01.ロウダウン / ボズ・スキャッグス
●Album 『シルク・ディグリーズ』 (1976) より
76年をAORにとっての大きな起点の年とした革命作『シルク・ディグリーズ』から、全米3位を記録しアルバムをロング・セラーへと導いた佳曲。火をつけたのがクリーヴランドのR&Bラジオ局だったことが象徴するようにソウルフルで、同時にポップにソフィスティケイトされた仕上がりは彼のアーティスト像そのままだ。45年経ってもまったく古くならない、恐るべき作品である。

02.風のシルエット / ボビー・コールドウェル
●Album 『イヴニング・スキャンダル』 (1978) より
米南部マイアミに西海岸同様の明るく乾いたAOR感覚の土地柄を抱かせた『イヴニング・スキャンダル』(78年)。その1作でスティーヴィー・ワンダーとボズ・スキャッグスのエッセンスを内包し、いずれとも異なるライトさも伴って、永く安定した地位を彼は日本で築いた。同作より79年全米9位のヒットは、アルバム・ジャケットを飾る“影絵=シルエット”を冠した邦題によりラジオを通じて強い
イメージを残す。

03.ウーマン・ニーズ・ラヴ / レイ・パーカーJr. & レイディオ
●Album 『ウーマン・ニーズ・ラヴ』 (1981) より
数々のセッションをこなしスティーヴィー・ワンダーをはじめとする先達が抜群の才能を認めた神童。レイディオを伴っての最終作タイトル曲(81年全米4位)は、トレードマークともいえるキャッチーなメロディとセンチメンタルな歌詞にオシャレなブラコン・サウンドが揃い踏みした。彼の全方位性と総合的なプロデュース力が、この1曲にぎっしり詰まっている。

04.マジック / ディック・セント・ニクラウス
●Album 『マジック』 (1979) より
79年発表のアルバム『マジック』がウエスト・コースト人気の厚い大阪の輸入レコード店で人気を呼び、関西限定で国内発売。タイトル曲がラジオでも人気を呼びついには全国展開され、80年を代表
する“日本の洋楽”と呼ぶにふさわしいヒットとなった。ムード歌謡にも通じるポップで伝わりやすく、同時に洋楽らしさがにじみ出た楽曲である。

05.カサブランカ / デイン・ドナヒュー
●Album 『デイン・ドナヒュー』 (1978) より
48年オハイオ生まれ。テレンス・ボイランらの制作でJ.D.サウザーら並外れた顔ぶれの揃ったゲスト陣を迎えた78年のデビュー作(にして唯一のアルバム)が『デイン・ドナヒュー』。その冒頭を飾り独創的な世界に誘う1曲は、人生の機微を知る大人に向けられた深い情感がオシャレに綴られた秀作だ。終盤のラリー・カールトンによるギターはさりげなくものすごい名演。

06.ハート・トゥ・ハート / ケニー・ロギンス
●Album 『ハイ・アドヴェンチャー』 (1982) より
ロギンス&メッシーナ解消後ソロ・アーティスト像を築いてきた彼が、第4作『ハイ・アドヴェンチャー』(82年)ではロック寄りのブルース・ボトニックを共同制作者に迎え、時代を反映するAORスタイルを描き出した。壊れやすい愛の姿を実直に綴ったこの曲(僚友マイケル・マクドナルド/デイヴィッド・フォスターとの共作)は全米15位を記録している。

07.ビゲスト・パート・オブ・ミー / アンブロージア
●Album 『真夜中の晩餐会』 (1980) より
ロサンゼルスのややミステリアスなプログレッシヴ・バンドといった風情であったが、「お前に夢中」以降AORの印象を強める。『真夜中の晩餐会』(80年)から、愛の価値を肯定的に歌い上げたこの曲がヒットし(全米3位)、穏やかな深みを伴った大人のロックとして揺るがぬ支持を得た。一方でアグレッシヴな作風にて明瞭に残したロック気質も、絶妙な個性となっている。

08.恋は雨模様 / メリサ・マンチェスター
●Album 『あなたしか見えない』 (1978) より
『あなたしか見えない』(78年=旧題『哀しみは心に秘めて』)は、ヴィニ・ポンシアからリオン・ウェアへとプロデューサーを替えブラック・ミュージックの風味を増した作品集であった。優れたソングライターでもある彼女だが、これはスティーヴィー・ワンダーがアイラ・タッカーJr.と共作し73年にスプリームスに提供したもののカヴァー。豪奢なきらびやかさを携えた、ポップなソウル・ナンバーとしての魅力が炸裂している。

09.スウィート・フィーリング / デニース・ウイリアムス
●Album 『シークレット・ラヴ』 (1983) より
スティーヴィー・ワンダーやモーリス・ホワイト(アース・ウインド&ファイアー)ら重鎮に見初められ、魅惑のベイビー・ヴォイスでR&Bの枠を超えたヴォーカリストとして世界を魅了した女性。83年のアルバム『シークレット・ラヴ』より、ジョージ・デュークのプロデュースによってダンサブルに仕上げられたポップ・ナンバー(全米R&B9位)は、翌84年の全米No.1「レッツ・ヒア・ボーイ」を予感させる出来だ。

10.キス・オブ・ライフ / シャーデー
●Album 『love deluxe』 (1992) より
84年の『ダイアモンド・ライフ』によりノスタルジックな空気感がオシャレに漂ったイギリスから登場し、ジャズを基底とした有機的なサウンドと情感に満ちた歌声で瞬く間に確かな地位を築いた。いっそう深みを増したのが第4作『love deluxe』(92年)。シンプルにしてゴージャスな演奏とささやくヴォーカルで愛への憧憬を示した麗しいヒットだ(全英44位/全米78位)。これぞ孤高の世界である。

11.そよ風の贈りもの / ホイットニー・ヒューストン
●Album 『そよ風の贈りもの』 (1985) より
ポップ・ミュージックの歴史にその名を刻み込む女性の記念すべき最初の大ヒット(85年全米3位)。女流ソングライター=ララ作の佳曲がカシーフによる制作手腕でニューヨークの香り漂うアーバン・コンテンポラリー・バラードに仕立てられ、ゴスペルをルーツとした堂々たるヴォーカル・ナンバーになっている。デビュー・アルバムの、白のスウィムウェアでビーチにたたずむ日本独自のジャケット・カヴァーもまた、忘れ難い。

12.シーイング・ユー / ジミー・メッシーナ
●Album 『オアシス』 (1979) より
バッファロー・スプリングフィールド、そしてポコを経たキャリアにおいても、もっとも商業的な成果を挙げたロギンス&メッシーナを解消し、これが初めてのソロ・アルバムであった。カントリーやフォークに根ざした要素からやや離れて洗練された作品性を帯び、同時にプロデュース力も発揮されたバンド仕様。ある種のコンセプチャルな部分に結びついたであろうーそんな『オアシス』(79年)から、田中康夫 著『なんとなく、クリスタル』中で言及された1曲。

13.セイリング / クリストファー・クロス
●Album 『南から来た男』 (1979) より
名匠マイケル・オマーティアンがダイアモンドの原石として磨き上げ、マイケル・マクドナルドやジェイ・グレイドン、ラリー・カールトンらを動員した『南から来た男』(79年)は、この男性に史上初のグラミー主要4部門同時受賞の栄誉をもたらせた。うちレコードとソング、さらには編曲部門も獲得したこの曲は、80年8月全米No.1に輝き、聴くたびに夏の風を届けてくれる。

14.ふたりだけの夜 / ロビー・デュプリー
●Album 『ふたりだけの夜』 (1980) より
マイケル・オマーティアン人脈に連なりクラッキンでの活動でも知られたピーター・バネッタとリック・チュダコフがプロデュースを手がけたアルバム『ふたりだけの夜』は、80年にロサンゼルス産の
良質なシティ・ミュージックとして世に贈られた。そこからのドゥービー・ブラザーズ的な仕上がりのこの曲(全米6位)は、AOR時代到来の確かな息吹を伝えていた。

15.テル・ミー・ザット・ユー・ラヴ・ミー / スティーヴ・ギブ
●Album 『レット・マイ・ソング』 (1979) より
ケニー・ロジャース、ヘレン・レディ、ドナ・ファーゴ、ポール・アンカらがこぞってこの1枚の収録曲を取り上げた『モノクローム』は、フロリダの男性シンガー・ソングライターによるデビュー作(79年)である。テリー・ギブスがカヴァーしたこの曲も、オーソドックスな楽曲構成と演奏、編曲、コーラス、そして儚げなヴォーカルとが優しさと繊細さをにじませるナンバー。心にしみいり、そして残り続ける。

16.アイ・ゴー・クレイジー / ポール・デイヴィス
●Album 『アイ・ゴー・クレイジー』 (1977) より
77年の通算第5作『アイ・ゴー・クレイジー(SINGER OF SONGS, TELLER OF TALES)』は契約のなかった日本では当時発売されず、そこからの傷心の傑作はチャートイン40週の異例の全米ヒット(7位)なれど幻の名曲となった。田中康夫 著『なんとなく、クリスタル』映画化に伴いサントラに収められ、81年に改めてその深い作品性が理解される。機を同じくして彼はソフィスティケイトされたスタイルを打ち出し、AORアーティストとしての根強い支持を得ていく。

17.トワイライト・ハイウェイ / ボズ・スキャッグス
●Album 『ミドル・マン』 (1980) より
80年の『ミドル・マン』は、『シルク・ディグリーズ』以降の彼の在りようをここ日本で決定的にした
円熟味と覇気とを存分に感じさせた傑作。「トワイライト・ハイウェイ」なる邦題も含め、すでに明瞭に特定されていた支持層へのアピールがさらに広がる可能性を感じさせた。その証左のように、初代トヨタ・クレスタのTV-CMに用いられ多くの意識の底に留まり続けた。

<DISC 2>

01.彼女はウェイト・フォー・ミー / エアプレイ
●Album 『ロマンティック』 (1980) より
70年代以降のポップ/ロック作品の洗練に莫大な影響をおよぼしたのが、デイヴィッド・フォスターとジェイ・グレイドン。ふたりがセッション/プロデュース業で培った人脈を伴って80年に発表した『ロマンティック』は、AORの古典的名盤である。日本独自にシングルとなった疾走感に満ちたこの曲は、アルバムの飽きさせぬ魅力を凝縮している。

02.ジョージー・ポージー / TOTO
●Album 『宇宙の騎士』 (1978) より
ロック・スタイルの「ホールド・ザ・ライン」で鮮烈な登場を告げた彼らが、第1作『宇宙の騎士』(78年)の中でさらに奥深い音楽性を明らかにしたのが、マザーグースの一節<Georgie Porgie>を引用したタイトルを持つこの曲。79年全米48位。R&Bチャートでも18位となり、シェリル・リンのヴォーカルが伝える強烈なソウル・フィーリングが、ジャンルの垣根を爽快に吹き飛ばした。

03.素顔のままで / ビリー・ジョエル
●Album 『ストレンジャー』 (1977) より
ボズ・スキャッグスの『シルク・ディグリーズ」の翌77年、CBSコロンビアが発売した70年代後半の潮流を決定づける重要作品が『ストレンジャー』であった。試行錯誤を繰り返していたロック・シンガー・ソングライターが、プロデューサーのフィル・ラモーンの教示を得て極上の洗練を手にする。都会に生きる人々の孤独を題材とした収録楽曲中、当時の妻エリザベスへの深い信頼を綴った名曲は全米3位の初のビッグ・ヒットと、グラミー賞最優秀レコード/最優秀ソングをもたらし、彼をスーパースターへと導く。

04.悲しきソープ / ナイジェル・オルソン
●Album 『涙のダンシング・シューズ』 (1979) より
イギリス出身でエルトン・ジョン・バンドのドラマーとして知られた存在ながら、ヴォーカリスト志向のソロ・アーティストとしても活動した。第4作『涙のダンシング・シューズ』(79年)からのこの曲(全米34位)は、ジャーメルズによる61年のR&Bヒットのカヴァーでガーネット・ミムズやエキサイターズ、ポール・デイヴィスらでもおなじみ。コミカルな味つけのアダルト・コンテンポラリー・ソングに仕上げられている。

05.イッツ・ザ・ラヴ / カール・アンダーソン (feat. ヴァネス・トーマス)
●Album 『オン・アンド・オン』 (1984) より
ヴァージニア生まれの俳優兼歌手。73年の映画版『ジーザス・クライスト・スーパースター』でユダを演じたミュージカル・スターであり、グロリア・ローリングとの「フレンズ・アンド・ラバーズ」(86年全米2位)のヒットも持つ。『オン・アンド・オン』(84年)からのこの曲では、ヴァネス・トーマスとのデュエットで極上のアーバン・コンテンポラリー・ヴォーカルを聴かせる。2004年に58歳で白血病のため死去。

06.ラヴ・ネヴァー・フェルト・ソー・グッド / ジョニー・マティス
●Album 『スペシャル・パート・オブ・ミー』 (1984) より
『スリラー』後にマイケル・ジャクソンがポール・アンカと共作していたものの正規には発表されず、84年にマティスのアルバム『スペシャル・パート・オブ・ミー』にて歌われた。ポップスとしての普遍性を備えた完成度は、スタンダード歌手の彼にぴったりだ。ジャクソン版は2014年の未発表作品集『XSCAPE』から、幻のオリジナル・ヴァージョンとして全米9位など世界的にヒットする。

07.キッス・オン・マイ・リスト / ダリル・ホール & ジョン・オーツ
●Album 『モダン・ヴォイス』 (1980) より
アリフ・マーディン、トッド・ラングレン、デイヴィッド・フォスターら強者と組んで70年代を模索し続けた彼らは、セルフ・プロデュースにより演出/装飾を削ぎ落とした独自のロックン・ソウル/モダン・ポップにたどり着く。それが『モダン・ヴォイス』(80年)だ。ソウルに根ざした都会的なポップ・ミュージックとして振り返ると、それがいかに80年代的だったかが解る。この曲の全米1位という成績はまさにノロシであった。

08.マイ・エヴァ・チェンジング・ムーズ / ザ・スタイル・カウンシル
●Single 「マイ・エヴァ・チェンジング・ムーズ」 (1984) より
ポール・ウェラー流モッズの84年型となった『カフェ・ブリュ』が日本ではファッション性から別角度で注目され、お陰で若い世代の黒人音楽への関心に結びついた。同作中ではピアノ・バラードだったこの曲は、シングル化に際しアップ・テンポに変身する。もちろんオシャレで、同時にカーティス・メイフィールドを想起させるシカゴ・ニュー・ソウルのグルーヴを携え聴くたびに胸が踊る。全米29位と期待ほどにふるわなかったのが残念。

09.フライ・ウィズ・ミー / ビル・チャンプリン
●Album 『独身貴族』 (1978) より
サンズ・オブ・チャンプリンを率いて、いわば“もうひとりのシスコの顔役”だったビルが、ロサンゼルスに移り、デイヴィッド・フォスターのプロデュースで制作した初ソロ作品が『独身貴族』(78年)。デビュー直前のTOTOやレイ・パーカーJr.、ダリル・ホール、マイケル・マクドナルドらの協力で、この曲を筆頭にファンク/ブルー・アイド・ソウル色濃いめの洗練されたロックを創造している。

10.オン・アンド・オン / スティーヴン・ビショップ
●Album 『ケアレス』 (1976) より
アート・ガーファンクルやチャカ・カーン、エリック・クラプトンら、後のクリストファー・クロスのデビュー作を思わせる豪華なゲストを迎えた『ケアレス』(76年)からの、穏やかなグルーヴを湛えるオープニング・トラックは彼のソングライターとしての逸材ぶりを示していた。シングル発売時につけられた邦題は「初恋の渚」。77年全米11位まで上昇し、28週の長きにわたり愛されながらチャートの海辺を心地よく漂った。

11.ロスト・イン・ラヴ / エア・サプライ
●Album 『ロスト・イン・ラヴ 』 (1980) より
まだオーストラリアのローカル・バンドだった時代に発売した曲を世界進出に合わせ再レコーディングし、80年初夏に全米3位を記録。卓抜した曲作りに美しいヴォーカル/コーラス・ハーモニーは
アコースティックを基調とした温もりと親しみを抱かせ、彼らの魅力を余すところなく伝えている。南半球、海、空といったリゾート感覚を音のイメージに重ねたペパーミント・サウンドなる日本でのキャッチ・コピーも、秀逸であった。

12.プリーズ Mr. DJ / レイ・パーカーJr. & レイディオ
●Album 『ウーマン・ニーズ・ラヴ』 (1981) より
アルバム『ウーマン・ニーズ・ラヴ』(81年)より、全米21位まで上昇。成功への足がかりを得たレイディオと共にレコーディングされた最後の曲とされる。消え去りゆく愛の記憶と分かち難い思い出の曲、そしてそれを奏でるラジオとを重ねて綴る心象は、万人の胸に響くものであろう。そうした要素も加味しての“プリーズMr. DJ”は、とてもステキな日本タイトルだった。

13.セカンド・チャンス / ポール・アンカ
●Album 『マイ・ソングス~朝のとばりの中で』 (1983) より
自作曲「ダイアナ」のオールディーズ・スター的存在から、70年代にはアダルト・コンテンポラリー・アーティストとして復活し、80年代にはAORの良作を残す。『マイ・ソングス~朝のとばりの中で』(83年)より、デイヴィッド・フォスター制作/マイケル・マクドナルド参加のこの曲ではドゥービー風リズムを見事に咀嚼し、時代を映し出したポップ・ソングとして完成された若々しさを伝えている。

14.セイラーズ・ソング / ペイジズ
●Album 『フューチャー・ストリート』 (1979) より
米西海岸のセッション・ミュージシャンたちによる実力派バンドとしてTOTOと並び根強いファンを持つ彼らの、第2作『フューチャー・ストリート』(79年)より。アンサンブルにヴォーカル・コーラス、アレンジなど多くの点で79年のロサンゼルスという時と場所を映し出した音の風景となり残り続けるトラックである。よりパワフルなロックへと移行してMr.ミスターとして大成功する前の、貴重な時期の意味深い作品だ。

15.セクシー・アイズ / ドクター・フック
●Album 『愛はいつも涙』 (1979) より
ニュージャージーで結成されたポップ/ロック・バンド。72年の登場時にはシニカルでシアトリカルな一風変わった存在だったが、アイロニーをペーソスにすげ替えてヒットを連発する。これは、79年のアルバム『愛はいつも涙』から全米5位を記録した代表曲だ。アイパッチ姿の看板キャラクターだったレイ・ソーヤー(83年に脱退)は、2018年12月に81歳で死去している。

16.ただひとつの願い / アンジェラ・ボフィル
●Album 『アンジー』 (1978) より
キューバ/プエルトリコ出身の父母のもとブルックリンで生まれ(54年)ブロンクスで育った。GRPからレーベル創始者デイヴ・グルーシンとラリー・ローゼンの制作で発表した78年のデビュー作『アンジー』からの自作曲である。R&Bとジャズの市場で最初に成功したラテン系アメリカ人シンガーのひとりとされ、ソフィスティケイトされた歌声によりアーバン・コンテンポラリーにおける新たな女性像を描き出している。

17.暗黒への挑戦 / アース・ウインド & ファイアー
●Album 『暗黒への挑戦』 (1975) より
ジャズやブラック・ロック的な手法からスタイルを変えつつ方向性を模索した総帥モーリス・ホワイトが、フィリップ・ベイリーら主要メンバーを整えて発表した第6作が同名映画サントラ『暗黒への挑戦』(75年)。アルバム同様全米1位に輝いたファンクの「シャイニング・スター」に続き、後のAOR色を感じさせたこのタイトル曲もヒット(全米12位)となり、このころの彼らの力強く前進する意志と計り知れない可能性を伝えていた。

18.アフター・ザ・ラヴ・イズ・ゴーン / エアプレイ
●Album 『ロマンティック』 (1980) より
ジェイ・グレイドン、デイヴィッド・フォスターがビル・チャンプリンと共にチャンプリンのアルバム用に書くが収録されず、先に79年の『黙示録』からアース・ウインド&ファイアーによって全米2位のヒットとなる。やや遅れて『ロマンティック』(80年)に収められエンディングを飾ったこちらのヴァージョンも、AORの金字塔として永く記憶に刻まれることになる。