Sting スティング
2023年3月8日、広島サンプラザホールを皮切りに、4年ぶりとなる来日公演「マイ・ソングス」ジャパンツアー 2023 を開催中、 グラミー賞17回の受賞歴を誇るレジェンド、スティング(STING)。
昨日、2023年 3月11日 (土) に、東京・有明アリーナで行われた東京初日公演のオフィシャル・ライブレポートが到着した。あわせて、来日公演初日のセットリストがプレイリストとして公開された。
また、この日にスタッフが楽屋で撮影した3枚の写真も届いた。
この写真には、今回の来日公演を記念して制作され、3月8日に発売となった『マイ・ソングス』日本国内プレスのアナログ・レコードを持ったスティングの様子が映されている。こちらは、完全限定生産となっている。
リリース情報
STING ”MY SONGS”
スティング『マイ・ソングス』【完全生産限定盤】
アナログ 2LP
2023年 3月8日 発売
UIJY-75233/4
¥6,600
UNIVERSAL MUSIC
*日本製造、完全生産限定盤
・2LP / 180g / ブラックヴァイナル
・スティングによる全曲解説・日本語訳、解説、歌詞・対訳付
オフィシャル・ライブ・レポート
スティング 「マイ・ソングス」 ジャパンツアー 2023
2023年 3月11日(土)東京「有明アリーナ」公演
スティングが、3年半ぶりに日本の土を踏んだ。あらためて触れるまでもなく、この3年半という長い時間は、世界がコロナ禍に翻弄された時期とそのまま重なるもの。「スティングのライヴ」への期待感はこれまでになく高かったわけだが、広島や大阪のファンからその熱い想いをさらに煽るような情報がつぎつぎと届くなか、3月11日、スティングの東京公演初日が行なわれた。会場は、昨年夏から本格的にイベント会場として使用されるようになったばかりの有明アリーナだ。
オープニング・アクトは、スティングの息子ジョー・サムナー。「ジェリー・ビーン」「ホープ」といったオリジナル曲をギター一本で歌い、愉快な日本語のMCでも楽しませてくれたあと、短いインターバルがあり、いよいよスティング・バンドと登場となった。
ドミニク・ミラーを中心としたメンバーが定位置につくと、ステージ下手から愛器プレシジョン・ベースを抱えたスティングが歩み出てきた。やや小さめのTシャツと黒い細身のパンツ。鍛え上げたという表現は正しくないのかもしれないが、無駄な肉はまったくなく、71歳という年齢が信じられないほど。
オープニングは「孤独のメッセージ」。昨年から加わった米国東海岸出身のドラマー、ザック・ジョーンズがワン・タムのシンプルなセットで叩き出す重量感があってしかもシャープなリズムに乗って、彼らは、44年前の名曲に新たな生命を吹き込んでいく。ヘッドセット・タイプのマイクを使うようになったスティングが(つまりマイク・スタンドに正対しなくていい)、自由にステージ上を動き、リズムや歌詞にあわせて視線も動かしながら歌うその動的イメージもスティング・バンドの新たな印象に大きく貢献しているようだ。
ハーモニカのシェイン・セイガーを大きくフィーチュアした「イングリッシュマン・イン・ニューヨーク」「マジック」とつづいたところで、「クチブエという日本語を覚えた」というMCで笑わせてさり気なく「イフ・イッツ・ラヴ」のイントロに移り、さらに「ラヴィング・ユー」「ラッシング・ウォーター」と、最近作『ザ・ブリッジ』にスポットを当てたセクションをじっくりと聞かせてくれた。『ザ・ブリッジ』は、ある意味では、コロナ禍に仕事の機会を奪われたことを逆手にとってつくり上げた作品であり、音楽家=スティングの今を伝えるものとして、やはりこれはきっちり聞かせたいと考えたのだろう。
「ルーズ・マイ・フェイス・イン・ユー」、ドミニク・ミラーがガット弦のギターで美しいソロを聞かせる「フィールズ・オブ・ゴールド」とつづいたあと、スティングがシェインを中央に呼び出し、スティーヴィー・ワンダーのハーモニカが印象的だった「ブラン・ニュー・デイ」。躍動感にあふれた力強いパフォーマンスを終えると、ふたたびドミニクがガット弦のギターに持ち替え、叙情的な「シェイプ・オブ・マイ・ハート」。そして、コーラスのメリッサ・ムジクが活躍する「ヘヴィ・クラウンド・ノー・レイン」から「セヴン・デイズ」「マッド・アバウト・ユー」と進んでいったあと、ガラリと雰囲気が変わる。
今回のツアーのステージ・セットはじつにシンプルで、基本的には照明を効果的に使って音そのものに重点を置いたものなのだが、ここで横長のスクリーンにNETFLIXで配信されたアニメシリーズ『アーケイン』からの映像が写し出され、スティングは、ケヴォン・ウェブスターが弾くキーボード中心の重厚なサウンドに乗って、そのアニメ作品に提供した「ホワット・クッド・ハヴ・ビーン」をじっくりと歌い上げていくのだ。そして、その雰囲気のまま曲はポリス時代の「アラウンド・ユア・フィンガー」に変わり、あのミュージック・ビデオを思い起こさせる蝋燭の映像がバックに浮かび上がる。なんとも美しい演出だ。
いよいよコンサートも終盤。「ウォーキング・オン・ザ・ムーン」、そして「ソー・ロンリー」と、ポリス時代の、どちらも強くレゲエのリズムとイメージを打ち出した曲がほぼメドレーの形で演奏されたのだが、スティングのベースに導かれて曲が移り変わった瞬間、その鮮やかさに、思わず息を飲んだほどだった。
そしてそのメドレーの後半ということになる「ソー・ロンリー」では、ボブ・マーリィーの名曲「ノー・ウーマン、ノー・クライ」が歌いこまれていく。ただし、誰もが知るそのタイトルの部分ではなく、“Good friends we have, Good friends we’ve lost, Along the way / 良き友を持ち、良き友を失い、道を歩む”というラインを強調する形で。いかにもスティングらしい、メッセージの伝え方といえないだろうか。
つづいて「デザート・ローズ」で満員のオーディエンスを北アフリカの砂漠地帯へと誘ったスティングは、「キング・オブ・ペイン」「見つめていたい」と、やはりポリス時代の名曲をほぼメドレーの形で聞かせ、いったんコンサートを締めくくっている(この2曲には、ジョー・サムナーもヴォーカルで参加していた)。
アンコールは、まず、オーディエンスと一体となっての「ロクサーヌ」。そして、ガット弦のアコースティック・ギターを手にしたスティングが「今夜はこれで終わり」と語りかけてから、「フラジャイル」。この曲での、聴く者の心を強く引き込むギターの美しさには、毎回、新鮮な感動を覚えるのだが、今回はまた新たなと輝きと味わいが加わっていたようだ。
アルバムのタイトルでありツアーのタイトルでもある『マイ・ソングス』の中心テーマはReimagine=再考し、見つめ直すということ。それは自らの作品群の普遍性を強く自覚しているスティングだからこそできる創作行為だと思うのだが、彼はツアーを通じても、日々、その意欲的な取り組みを続けているのだろう。
とはいえ、今回はまずなによりも、長い空白の時期をへて再会できたことをファンとともに喜び、楽しむことに、ポイントが置かれていたようだ。そのうえで、「ホワット・クッド・ハヴ・ビーン」や『ザ・ブリッジ』からの3曲などによって今後の方向性や可能性もきちんと示した、スティングらしさ満載の2時間だった。ジョー・サムナーが冒頭で話していた愉快な日本語を借りるなら、まさに「マンプク」。幅広い年齢層のオーディエンスの皆さんもきっと、同じような想いで家路につかれたのではないだろうか。
文:大友 博
<セットリスト:スティング @有明アリーナ | 2023/3/11>
01 Message in a Bottle
02 Englishman in New York
03 Every Little Thing She Does Is Magic
04 If It’s Love
05 Loving You
06 Rushing Water
07 If I Ever Lose My Faith in You
08 Fields of Gold
09 Brand New Day
10 Shape of My Heart
11 Heavy Cloud No Rain
12 Seven Days
13 Mad About You
14 What Could Have Been
15 Wrapped Around Your Finger
16 Walking on the Moon
17 So Lonely
18 Desert Rose
19 King of Pain
20 Every Breath You Take
21 Roxanne
22 Fragile
来日公演情報
STING MY SONGS JAPAN TOUR 2023
スティング 「マイ・ソングス」 ジャパンツアー 2023
■広島公演
2023年3月8日(水)広島サンプラザホール 開場18:00 開演19:00
■大阪公演
2023年3月9日(木)大阪城ホール 開場18:00 開演19:00
■東京公演
2023年3月11日(土)有明アリーナ 開場17:30 開演19:00
2023年3月12日(日)有明アリーナ 開場15:30 開演17:00
■名古屋公演
2023年3月14日(火)日本ガイシホール 開場18:00 開演19:00
企画・制作・招聘: Live Nation Japan合同会社
協力: Universal Music Japan合同会社
リリース情報
Sting ”The Bridge (Super Deluxe Edition)”
スティング「ザ・ブリッジ(スーパー・デラックス・エディション)」
アルバム CD(2枚組)(SHM-CD)/ Digital
2022年6月17日 発売
UICY-16080/1
¥3,850(税込)
A&M / UNIVERSAL MUSIC
※日本盤ボーナス・トラック2曲収録(*)
※スティングによるライナーノーツ掲載(日本語訳付)
※日本盤のみSHM-CD仕様、折込ポスター封入
<収録曲>
CD 1:ザ・ブリッジ
01 Rushing Water ラッシング・ウォーター
02 If It’s Love イフ・イッツ・ラヴ
03 The Book of Numbers ザ・ブック・オブ・ナンバーズ
04 Loving You ラヴィング・ユー
05 Harmony Road ハーモニー・ロード
06 For Her Love フォー・ハー・ラヴ
08 The Hills on the Border ザ・ヒルズ・オン・ザ・ボーダー
08 Captain Bateman キャプテン・ベイトマン
09 The Bells of St. Thomas ザ・ベルズ・オブ・セント・トマス
10 The Bridge ザ・ブリッジ
11 Waters of Tyne ウォーター・オブ・タイン
12 Captain Bateman’s Basement キャプテン・ベイトマンズ・ベースメント
13 (Sittin’ on) The Dock of the Bay ドック・オブ・ベイ
14 I Guess the Lord Must Be in New York City 孤独のニューヨーク *
CD 2:FIPセッション・ライブ・イン・パリ・アット・パンテオン + ボーナス・トラック
1 Shape of My Heart シェイプ・オブ・マイ・ハート(ライブ)
2 Fragile フラジャイル(ライブ)
3 Message In A Bottle 孤独のメッセージ(ライブ)
4 If It’s Love イフ・イッツ・ラヴ(ライブ)
5 Rushing Water ラッシング・ウォーター(ライブ)
6 For Her Love フォー・ハー・ラヴ(ライブ)
7 Por Su Amor feat. KURT ポル・ス・アモール feat. KURT
8 Por Su Amor ポル・ス・アモール *
Sting ”The Bridge”
スティング 「ザ・ブリッジ」
アルバム CD (デラックス盤は DVD 付)
2021年 11月19日発売
A&M / UNIVERSAL MUSIC
デラックス盤 UICY-79755 4,070円(税込)*
通常盤 UICY-16021 2,750円(税込)
*デラックス盤 / 日本独自企画盤、7インチ・サイズ・パッケージ、折込ポスター2枚封入
収録内容
CD
Rushing Water ラッシング・ウォーター
If It’s Love イフ・イッツ・ラヴ
The Book of Numbers ザ・ブック・オブ・ナンバーズ
Loving You ラヴィング・ユー
Harmony Road ハーモニー・ロード
For Her Love フォー・ハー・ラヴ
The Hills on the Border ザ・ヒルズ・オン・ザ・ボーダー
Captain Bateman キャプテン・ベイトマン
The Bells of St. Thomas ザ・ベルズ・オブ・セント・トマス
The Bridge ザ・ブリッジ
Waters of Tyne ウォーター・オブ・タイン
Captain Bateman’s Basement キャプテン・ベイトマンズ・ベースメント
(Sittin’ on) The Dock of the Bay ドック・オブ・ベイ
I Guess the Lord Must Be in New York City 孤独のニューヨーク *日本盤ボーナス・トラック
DVD(デラックス盤)
Interview & Track by Track インタビュー&トラック・バイ・トラック <日本語字幕付>
If It’s Love (Music Video) イフ・イッツ・ラヴ(ミュージック・ビデオ)
Rushing Water (Music Video) ラッシング・ウォーター(ミュージック・ビデオ)
デュエット アルバム
Sting ”Duets”
スティング 「デュエッツ」
アルバム CD(SHM-CD)
2021年3月19日発売
DVD付 デラックス盤: UICY-79483 ¥3,500円+税
CD 通常盤: UICY- UICY-15974 ¥2,500円+税
A&M / Universal Music
*スティングによる全曲解説・日本語訳付
収録曲
[ CD 収録曲 ]
1 Little Something with Melody Gardot リトル・サムシング with メロディ・ガルドー
2 It’s Probably Me with Eric Clapton イッツ・プロバブリー・ミー with エリック・クラプトン
3 Stolen Car with Mylène Farmer ストーレン・カー with ミレーヌ・ファルメール
4 Desert Rose with Cheb Mami デザート・ローズ with シェブ・マミ
5 Rise and Fall with Craig David ライズ&フォール with クレイグ・デイヴィッド
6 Whenever I Say Your Name with Mary J Blige
ホェンエヴァー・アイ・セイ・ユア・ネーム with メアリー・J.ブライジ
7 Don’t Make Me Wait with Shaggy ドント・メイク・ミー・ウェイト with シャギー
8 Reste with GIMS レスト with GIMS
9 We’ll Be Together with Annie Lennox ウィル・ビー・トゥゲザー with アニー・レノックス
10 L’Amour C’est Comme Un Jour with Charles Aznavour
恋は一日のように with シャルル・アズナヴール
11 My Funny Valentine with Herbie Hancock
マイ・ファニー・ヴァレンタイン with ハービー・ハンコック
12 Fragile with Julio Iglesias フラジャイル with フリオ・イグレシアス
13 Mama with GASHI ママ with GASHI
14 September with Zucchero セプテンバー with ズッケロ
15 Practical Arrangement with Jo Lawry プラクティカル・アレンジメント with ジョー・ローリー
16 None Of Us Are Free with Sam Moore ナン・ノブ・アス・アー・フリー with サム・ムーア
17 In The Wee Small Hours Of The Morning with Chris Botti
イン・ジ・ウィー・スモール・アワーズ with クリス・ボッティ
18 Englishman / African in New York with Shirazee
イングリッシュマン/アフリカン・イン・ニューヨーク with シェラージー
(日本盤のみのボーナス・トラック)
[ DVD 収録内容 ] デラックス盤付属
デュエッツ インタビュー&トラック・バイ・トラック
Duets Interview & Track By Track by Sting
セプテンバー with ズッケロ(ミュージック・ビデオ)
September with Zucchero (Music Video)
イングリッシュマン/アフリカン・イン・ニューヨーク with シェラージー(ミュージック・ビデオ)
Englishman / African in New York with Shirazee (Music Video)