ウィーン・フィル の ニューイヤー・コンサート、1月1日収録のライブ音源のデジタル配信がスタート! 初登場曲 14曲! 地元オーストリアでは 視聴率60%を記録! 世界90カ国以上で放送、5千万人が視聴するクラシック音楽界最大のイベント! -MUSIC GUIDE ミュージックガイド

特選!


MUSIC GUIDE 情報局

ウィーン・フィル の ニューイヤー・コンサート、1月1日収録のライブ音源のデジタル配信がスタート! 初登場曲 14曲! 地元オーストリアでは 視聴率60%を記録! 世界90カ国以上で放送、5千万人が視聴するクラシック音楽界最大のイベント!


『ウィーン・フィル ニューイヤー コンサート 2023』

日本でも高い人気を誇る名門オーケストラ、ウィーン・フィル。彼らのコンサートの中でも最も有名なのが 毎年 1月1日に行なわれるニューイヤー・コンサート。
 
毎年、元旦に黄金の「ムジークフェラインザール」(ウィーン楽友協会大ホール)から、テレビとラジオを通じて 世界 90カ国以上に放送され、総計 5千万人が視聴するというこのクラシック音楽界最大のイベントは、1939年に始まる80年以上の歴史を誇る。
 
音楽の都ウィーンを象徴するシュトラウス一家のワルツやポルカが演奏され、その高額のチケットは世界一入手困難。そのため、ニューイヤー・コンサートを聴くことは音楽ファンの憧れでもある。
 
日本でも、2023年 1月1日(日)19:00 〜 22:00 NHK Eテレ で、このコンサートの模様が生中継された。

元旦の演奏会でのライヴ収録直後に音声の編集が行われすぐさま発売・配信されるのがニューイヤー・コンサートの通例で、2023年 1月6日に、全世界でデジタル配信がスタートしている。
 
CDが、ヨーロッパのCDショップの店頭に並ぶのは1月13日、国内盤での発売は、CDが1月25日、ブルーレイが2月15日の予定。

無観客開催の2021年、観客を1000名に限定した2022年に続き、今年は3年ぶりのフルキャパシティでの開催となり、黄金のムジークフェラインザールにもようやくコロナ前の華やかさが戻った。ちょうど元日の午前11時15分から開催された地元オーストリアでは、TVの視聴率が何と60%を超える高視聴率となった。オーストリア国内だけで117万人が見た計算となる。

Photo: Dieter Nagl

今年の指揮者は、現在、クリーヴランド管弦楽団の音楽監督をつとめる地元オーストリア出身のフランツ・ウェルザー=メスト(1960年リンツ生まれ)。
  
ウィーン・フィルとの初共演は、1998年1月のモーツァルト週間で、J.C.バッハとモーツァルトの間にメシアンを挟む個性的なプログラムを指揮している。それ以来、現在に至るまで200回近く共演を重ね、2010-2014年はウィーン国立歌劇場の音楽監督を務めるなど、ウィーン・フィルとはゆかりの深い指揮者の一人。
  
ニューイヤー・コンサートには2011年に初登場し、その後2013年にも再登場した。2023年は10年ぶり3度目のニューイヤー・コンサート登場となった。

Photo: Dieter Nagl

今年のニューイヤー・コンサートに関して、ウィーンの地元紙『クーリエ』は、
「ウェルザー=メストとウィーン・フィルは、これまで知られていなかった宝物のような音楽を完璧なサウンドでムジークフェラインザールに響かせた」
と絶賛し、
「完全無欠な新年のスタート」
と完璧な演奏を褒めたたえている。
 
ウェルザー=メストの指揮も、2011年・2013年の過去2回の出演と比較して
「これまでで最高のニューイヤー・コンサートだ」
とオンラインメディア『BRクラシック』は今年の出来を称賛した。

Photo: Dieter Nagl

今年のニューイヤー・コンサートの最大の特徴は、演目15曲のうち、14曲が同コンサート初登場だったという点。
 
これまで、初登場曲は多くて 5曲前後だったが、今年はその約3倍で、これほど初登場曲が多いのは同コンサート史上初めてのこと。
 
これはもともと指揮者ウェルザー=メストからの提案で、パンデミック中にシュトラウス一家やランナーの出版譜をすべて購入して研究に没頭し、これまでニューイヤー・コンサートで演奏されていないのが不思議なくらい魅力的なワルツやポルカを多数発見、ぜひ取り上げたいと考えたことによる。
 
ウェルザー=メスト本人も
「ニューイヤー・コンサートをTVで見たり、ラジオで聴いたりされる方は、《春の声》のような有名な曲が演奏されるからTVを見ようとかラジオで聴こうとされるわけじゃないですよね。そうした方々を、新しい音楽の魅力を発見していただくチャンスへと誘うのは、とても大切なこと」
と語り、
「今年のニューイヤー・コンサートは新しい音楽の発見の旅―――美しく驚きに満ちた音楽の楽園を探検するような喜び」
と言葉を添えている。

Photo: Dieter Nagl

また、コンサート後半で演奏されたヨーゼフのポルカ・フランセーズ「上機嫌」作品281では、ウィーン少年合唱団に加えて、その姉妹合唱団ともいうべきウィーン少女合唱団がニューイヤー・コンサートに初登場し、ウィーン・フィルと共演を果したのも大きな話題となった。2階正面のオルガン前のバルコニーに整列し、美しいハーモニーを披露した2つの合唱団に演奏後会場から大きな拍手が送られた。

Photo: Dieter Nagl

また、「美しく青きドナウ」の演奏の前に行われる「新年の挨拶」では、ウェルザー=メストは哲学者ニーチェの著書『偶像の黄昏』から「音楽なしの人生は誤りだ」という言葉を引用し、新しい年への明るい希望を込めたメッセージを伝えた。
 
続く「ラデツキー行進曲」では客席が一丸となった拍手を巧みにコントロールして、華やかにコンサートを締めくくった。また同時に2024年のニューイヤー・コンサートの指揮者がクリティスティアン・ティーレマンであることも発表された(2019年以来2度目の登場)。




リリース情報


Franz Welser-Möst & Vienna Philharmonic ”New Year’s Concert 2023″
フランツ・ウェルザー=メスト&ウィーン・フィル 「ニューイヤー・コンサート 2023」


指 揮: フランツ・ウェルザー=メスト
管弦楽: ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
合 唱: ウィーン少年合唱団、ウィーン少女合唱団(ポルカ・フランセーズ「上機嫌」作品281)

録音: 2023年1月1日、ウィーン、ムジークフェラインザール での ライヴ・レコーディング

SONY CLASSICAL / Sony Music Japan International

<発売日>
デジタル配信 : 2023年 1月 6日(通常配信・24ビット 96kHz ハイレゾ配信・ストリーミング)
2 CD    : 2023年 1月25日 予定 SICC-2241~42 3,190円(税込)
ブルーレイ  : 2023年 2月15日 予定 SIXC‐75 6,270円(税込)

<収録曲>

[第1部]
01 ポルカ・シュネル「誰が一緒に踊るの?」 作品251(エドゥアルト・シュトラウス)★ [2:19]
02 ワルツ「英雄の詩」作品87(ヨーゼフ・シュトラウス)★ [9:29]
03 「ジプシー男爵」のカドリーユ 作品422(ヨハン・シュトラウス2世)★ [5:00]
04 ワルツ「心地よい夜に」作品488[オペレッタ「放浪者」より](カール・ミヒャエル・ツィーラー)★ [8:56]
05 ポルカ・シュネル「元気に行こう!」作品386(ヨハン・シュトラウス2世 )★ [2:25]

[第2部]
06 喜劇的オペレッタ「イザべッラ」序曲(フランツ・フォン・スッペ)★ [8:08]
07 演奏会用ワルツ「愛の真珠」作品39(ヨーゼフ・シュトラウス)★ [10:55]
08 ポルカ・フランセーズ「アンゲリカ・ポルカ」作品123(ヨーゼフ・シュトラウス)★ [3:22]
09 ポルカ・シュネル「さあ、逃げろ!」作品73(エドゥアルト・シュトラウス)★ [2:10]
10 ポルカ・フランセーズ「上機嫌」作品281(ヨーゼフ・シュトラウス)★ [3:48]
  [歌詞:アンナ・マボ/合唱への付曲:ゲラルト・ヴィルト]
11 ポルカ・シュネル「いつまでも永遠に」作品193★ [2:37]
12 ワルツ「まひわ」作品114★ [8:34]
13 バレエ「エクセルシオール」より グロッケン・ポルカとギャロップ(ヨーゼフ・ヘルメスベルガー2世)★ [4:06]
  [「電信たち」の場面の音楽/バレエ原曲はロムアルド・マレンコ作曲/ルイジ・マンゾッティ振付による]
14 オーケストラ・ファンタジー「アレグロ・ファンタスティーク」Anh.26b(ヨーゼフ・シュトラウス)★ [5:08]
15 ワルツ「水彩画」作品258(ヨーゼフ・シュトラウス) [7:44]

[アンコール]
16 ポルカ・シュネル「山賊のギャロップ」 作品378(ヨハン・シュトラウス2世) [2:33]
17 新年の挨拶 [0:56]
18 ワルツ「美しく青きドナウ」 作品314(ヨハン・シュトラウス2世) [10:07]
19 ラデツキー行進曲 作品228(ヨハン・シュトラウス1世) [3:48]

★ ニューイヤー・コンサート初演奏の作品(14曲)

* 作品名は、日本ヨハン・シュトラウス協会刊の『ヨハン・シュトラウス2世作品目録』(2006)、『ヨーゼフ・シュトラウス作品目録』(2019)に従っています。 


各配信サイト


ニューイヤー・コンサート ソニーミュージック


ウィーン・フィル オフィシャルサイト





MUSIC GUIDE 情報局 ニュース一覧