MUSIC GUIDE 編集部 オススメ!
朝倉さや スペシャル インタビュー!
メジャー 第2弾 アルバム「Life Song」! -MUSIC GUIDE ミュージックガイド

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メジャー 第2弾 アルバム「Life Song」!

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朝倉さや スペシャル インタビュー!
メジャー 第2弾 アルバム「Life Song」!

インタビューの最後に、読者プレゼントあり!

Asakura Saya

朝倉さや

New Album『 Life Song


★ 安住紳一郎(TBSアナウンサー)、草野マサムネ(スピッツ)らも 絶賛!
★ 心に響く「奇跡の歌声」と言われる、民謡出身のシンガーソングライター!
★ メジャー 第2弾 2枚組 オリジナル・アルバム!
★ 書き下ろしの新曲に、民謡の現代風アレンジ、カバー曲 の 全22曲 収録!
★ ポップスの山形弁カバー、民謡の洋楽風アレンジ でも 話題!




朝倉さや「生きる」New Album『Life Song』収録

朝倉さや 名曲カバー(サビメドレー)『Life Song』 Disc 2

朝倉さや アルバム「Life Song」YouTube 再生リスト




コメント


スタジオで歌ってもらった時、声量に圧倒された。声量で心が動くことを初めて経験した。
歌がうまい。そして、歌詞に感情を乗せて正面からやってくるので、ちょっとうしろに下がるくらい。
ーー 安住紳一郎


ずっと聴いていたい開放的な歌声!唯一無二だと思います。
ーー 草野マサムネ(スピッツ)


さやさんの言葉が重みを持つのは、血がちゃんと通ってるからだと思う。
ーー こじまいづみ(花*花)




リリース情報


朝倉さや 「Life Song」
アルバム CD(2枚組)
2022年5月25日 発売
UPCY-7777/8
¥3,960
Solaya Label / UNIVERSAL MUSIC

<収録曲>

Disc 1
01 1
02 ライフソング -Life Song-
03 ニワトリ
04 山商
05 ラ・フランス ~おフランスを添えて~
06 下北沢
07 ヤナト田植唄・巫 かみなぎ -Future Trax-
08 生きる
09 最上川舟唄 -Life Song-
10 からめ節 -Last Song-
11 おはら節-Life Song-
12 グラシアス・メヒコ
13 ドンドンパーンカレー
14 ハムスター(伝説生物)

Disc 2
01 飾りじゃないのよ涙は
02 異邦人
03 なすてだべ feat.テツandトモ
04 島唄
05 島人ぬ宝
06 さよなら大好きな人
07 時の流れに身をまかせ
08 童神~ヤマトグチ~


朝倉さや アルバム「Life Song」YouTube 再生リスト

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朝倉さや ユニバーサルミュージック


朝倉さや オフィシャルサイト

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朝倉さや 歌詞一覧




朝倉さや スペシャル インタビュー


 もちろん、歌手の魅力は、決してそれだけではないが、日本人女性歌手で、これほど声が「よく鳴る」人は、そんなにいない。
 
 一般的に、民謡出身の歌手は声量のある人が多いが、朝倉さやの場合、ただ単に「声量がある」というだけではなく、本当によく鳴っていて、響きが豊かで、その場を圧倒するような歌声だ。そういう意味では、民謡以外、歌っている曲は違うが、細川たかしの女性版のようだとも言える。
 
 しかも、その響きは明るく、強く前に出てくるし、無理にチカラを入れているわけではないので、聴く人を緊張させず、やわらかさもあって、心地よく聴ける。高い声はもちろんだが、朝倉さやの場合、低い声もヌケが良く魅力的だ。高い音も低い音も、同じ音量で聴こえる。
 
 歌手デビュー前から、朝倉さやの歌声を気に入り、自身がパーソナリティを務める TBS の ラジオ番組『安住紳一郎の日曜天国』に、これまで11回も呼んでいる TBS アナウンサーの 安住紳一郎 は、「声量で心が動くことを初めて経験した」とコメントしている。また、スピッツ の 草野マサムネ も、「ずっと聴いていたい開放的な歌声! 唯一無二だと思います」と絶賛している。
 
 日本のみならず、オーストラリア、スウェーデン、フランス、スペイン、トルコ、インドネシア、タイ、台湾など、海外でも 朝倉さやの歌がよく聴かれている理由は、やはり、その歌声の魅力が大きいのだろう。
 
 山形出身、朝倉さやの歌声のルーツは、小さい頃から歌っていた民謡だ。「民謡民舞少年少女全国大会」では、小学生の時と中学生の時の 2回、民謡日本一になっている。中高校生のころも、当時、流行っていた J-POP も聴いていたが、ずっと民謡は好きで歌っていた。
 
 地元、山形の高校を卒業すると、歌手を目指して上京。働きながら歌手の道を模索する中、作編曲家でギタリスト、プロデューサーでもある solaya の音楽教室「Solaya Music School」を見つけ通い始めた。そこで宿題として初めて書いた曲『東京』が、後に、2013年のデビュー曲となった。
 
 デビュー前から、アニソンや歌謡曲を山形弁で歌った「なまり歌」の動画を、動画サイトに投稿して話題となり、2013年1月には、テレビ朝日系『新春 全日本なまりうたトーナメント』に出場。歌詞を山形弁に替えてスピッツの『ロビンソン』を歌い審査員を驚かせた。
 
 2014年に発売された、歌謡曲やポップスを山形弁の方言でカバーしたアルバム『方言革命』の先行配信では、iTunes ランキング 1位、Amazon ランキング 1位、2014年 Amazon デジタルミュージック年間ランキング 4位を記録するなど大ヒット。さらに、2015年に発売された、民謡をポップス調にアレンジした曲(Future Trax)を収録したアルバム『River Boat Song -Future Trax-』では、日本レコード大賞企画賞を受賞。2020年に、アルバム『古今唄集 〜Future Trax Best〜』で、ユニバーサルミュージックからメジャーデビューした。
 
 そして、今年、2022年5月25日には、通算 9枚目、メジャー 第2弾となる 2枚組のアルバム『Life Song』がリリースされた。
 
 2枚組の Disc 1 には、朝倉さや が 作詞・作曲したオリジナル曲に、民謡をポップス調にアレンジした「Future Trax」など 全14曲を収録。Disc 2 には、朝倉さやがリスペクトするアーティストのカバー曲 7曲に、「テツandトモ」の『なんでだろう』を山形弁にアレンジした『なすてだべ feat.テツandトモ』も収録されている。
 
 最新アルバム『Life Song』は、これまでの音楽活動の集大成のような作品になっており、心地よく、ずっと聴いていたくなるアルバムだ。アルバム収録曲の全曲が YouTube で公開されている。
 
 朝倉さやが始めた「山形弁カバー」も「民謡のポップス・アレンジ」も、何も気を衒ったわけではない。「山形出身、民謡育ちの シンガーソングライター」朝倉さやが、自分が持っているものを、そのまま自然に、素直に表現しているだけにすぎない。でも、だからこそ、伝えるチカラがあるし、説得力がある。
 
 その結果、圧倒的な歌声はもちろん、自身が作詞や作曲するオリジナル曲の魅力に加え、「山形弁×ポップス」「民謡×ポップス」という新しい世界も出来上がった。
 
 朝倉さやにとって、デビュー前からその才能に注目し、育て、さらに、レコーディングでは、アレンジやすべての楽器の演奏まで担当していたプロデューサー solaya(ソラヤ)の存在は大きい。
 
 2016年に、がんが見つかり、2017年、35歳の時に「余命1年」と告げられた solaya は、その後も、5年以上に渡って、がんと闘いながら 朝倉さや の 楽曲制作とプロデュースを続けていたが、このインタビューの後、2022年9月11日に、41歳という若さで亡くなった。
 
 おそらく、solaya は、このアルバムに文字通り命懸けで取り組み、自分が亡き後も、朝倉さやが困らないように、道筋を付けようとしたのだろうと思う。
 
 デビューに導き、10年近くも音楽制作のパートナーだった solaya が亡くなったことは、闘病生活を長く間近で見ていただけに、朝倉さや自身も覚悟はしていただろうが、それでも、そのショックは小さくなかったと思う。
 
 しかし、誤解を恐れずに言うと、solaya が 亡くなったことは悲しいことだが、これからの「朝倉さや 第2幕」では、どんな世界が見られるのかが楽しみでもある。
 
 きっと、solaya も、そういうふうに考えると思う。


<もくじ>

1 アルバムのキャッチコピーは「未来を諦めない」 〜「命と向き合うっていう時間が本当にすごく多い…」〜
2 これまでの集大成のようなアルバム 〜「ひとりじゃなくて私達のアルバムだなという…」〜
3 民謡をポップスに昇華した「Future Trax」シリーズ 〜「あんときの衝撃が忘れられなくて…」〜


4 Disc 2 の カバー集には、あの「テツandトモ」も 〜「ひとつまた夢が実現できたなという…」〜
5 プロデューサー solaya の存在 〜「素敵な部分をすごい引き出してくれる…」〜
6 山形生まれ、民謡育ち 〜「ずっと歌うことが大好きで生きてきたので…」〜


7 上京、歌手デビュー 〜「自分が思ったより働くっていうことがまず大変で…」〜
8 人気曲『おかえり-manzumamake-』 〜「なんか、ツーッって涙が流れてて…」〜
9 これからの活動 〜「生活や心に寄り添えるような歌を歌っていきたい…」〜


1 アルバムのキャッチコピーは「未来を諦めない」 〜「命と向き合うっていう時間が本当にすごく多い…」〜
 
ーー 今年、2022年5月25日に発売となった 2枚組の最新アルバム『Life Song』の Disc 1 には、書き下ろしの新曲を収録。Disc 2 には、朝倉さやがリスペクトするアーティストのカバー曲が収録されている。アルバムのキャッチコピーには、「未来を諦めない」と書かれている。
 
朝倉: ああ……、もう本当に……、まず、(アルバムが)出来て良かったなっていう……。あの、一緒にずっと音楽を作ってきてくれてる、一緒に歩んでくれてる solaya(ソラヤ)さんが、いま、がんと闘っていて、本当につらい中でというか、体調悪い中でというか、なんか……命がけでというかですね、一緒にこのアルバム作ってくれたんです。
 
ーー 朝倉さやをデビュー前から育てたプロデューサーで、楽曲のアレンジから、レコーディングでは全ての楽器の演奏も担当している solaya は、2016年に、がんが見つかり、2017年、35歳の時に「余命1年」と告げられ、その後も、がんと闘いながら 朝倉さや の 楽曲制作とプロデュースを続けていた。
 
朝倉: 私自身も、やっぱり、このアルバムにしっかりメッセージを残したいという気持ちと、あと solaya さんも、「いまの solaya さん だからこそ音楽で伝えられることもあるんじゃないか」ということで、全力投球でこのアルバムを作りたいということで、2人でやってきたアルバムだったりしたので、結構、本当にギリギリっていうか……。もしかしたら 2〜3曲 入らなかった曲もあるかもしれないぐらいの状態で一緒に作ってくれたので、(アルバムが)出来たときには、もう本当に「出来てよかったな〜」っていう気持ちでしたね。
 
ーー そして、今回、「自分の音楽を包む入れ物も自分で作る」という思いから、アルバムのアートワークも、全て本人が手がけている。写真はもちろんのこと、文字のフォント、配置など、隅々まで朝倉さやのアイデアが詰まっている。
 
朝倉: はい、もちろん、音楽を一番に聴いていただきたいんですが、今回、ジャケットとかブックレットも、イチから全部自分で初めてデザインしたりとかしてたんです。初めてのことだったりしたので、それも含めて自分が表現したいことをしっかり表現できたアルバムになって……、本当に、まず出来てよかったなと思いました。
 
朝倉: そして、リリース日を迎えて「これが誰かに届くき届く日が来たな」と思って、なんかもう本当に 1個 1個が 感動の連続というか、今まで歩んできたこと、挑戦してきたこと、そして出会った人たちと一緒に作っているみたいな感じがして、もうだから本当に「スペシャルな宝物」みたいなアルバムになったので、まず、本当に、出来て、そして、いま誰かに届いているっていうことが、本当に感動でありまして……、良かったなと思って……。
 
ーー やりきったアルバムになった。
 
朝倉: そうですね〜。本当に表現できたなと思ってます……、はい。
 
ーー 朝倉さやが言うように、アルバムの制作期間中、プロデューサーの solaya の病状は、相当悪かったようだ。
 
朝倉: そうなんですよ。なので、このアルバムに、もう本当にチカラを出しきったっていう……。
 
ーー 病状が悪かっただけに、solaya としても、「最後のアルバム」という気持ちで制作したのだろう。
 
朝倉: そういう気持ちですかね……。このアルバムの中に、『からめ節 -Last Song-』(作詞・作曲:岩手県民謡、朝倉さや、solaya)っていう 1曲がありまして、その中にも solaya さんのメッセージがあるんですけれども、本当に、その都度、その都度、結構、悪くなっていっちゃったりとか、本当に最後のつもりっていうか、そういう覚悟でやっている……。
 
朝倉: で、今回、キャッチコピーが「未来を諦めない」で、テーマとして「命と人生を歌った私達のアルバム」ってなってるんですけれども、ちょうど、その solaya さんの命のこともそうだし、コロナ禍っていうこともあって、命と向き合うっていう時間が本当にすごく多いっていうか……、そこが、なんだろう……、自分の真ん中に来るぐらい、なんかこう生活の中にあって、それもあって命と向き合って、人生と向き合って書いたんですけれど……。
 
朝倉: そうすると、「これまでやってきたこと、出会ってきた人たちがいて、今の自分があるな」というふうに思ったので、この「私達の……」っていうところには、私と solaya さんっていうのもそうだし、今まで出会ってきてくれた人っていうのもそうだし……。

2 これまでの集大成のようなアルバム 〜「ひとりじゃなくて私達のアルバムだなという…」〜
 
朝倉:「未来を諦めない」っていう歌詞が入っている『生きる』(作詞:朝倉さや、作曲:夏海)という曲も入ってるんですが、これは、初めて、ずっとマネージャーさんとしてもお世話になっている 夏海さんっていう solaya さんの奥様が作ってくださった曲なんです。
 
朝倉: で、solaya さんが、本当に体調が悪い時期に……、今も本当に悪いんですが、この制作期間中にも、本当に solaya さんが悪い時期があって、夏海さんともお話したりする機会が増えて、夏海さんは、作曲家さんでもいらっしゃるんですけれども、初めて作曲していただいて、私がそこに歌詞をつけて、で、solaya さんが少し体調の良いときにアレンジをつけてくださったりしたので、「solaya レーベル」総出の1曲 というか(笑)、そういう意味でも、私達の中には本当にたくさんの人が関わってくれてて……。
 
ーー ミディアムバラードで、和を感じるメロディの『生きる』(作詞:朝倉さや / 作曲:夏海)は、一度、聴くだけで、サビの「♪頑張って 支え合って 生きる〜」が耳に残る、いい歌だ。「人は誰もひとりでは生きていけない」というメッセージが心に響く。
 
朝倉: さらに言うと、これ(『生きる』は)、バイオリンとビオラとチェロとドラムと、たくさんのアーティストさんが、人生の中で磨いてきた表現力とか技をですね、この曲で披露してくださっているので、そういう意味でも、関わってくれた人たちを含めて、そして出会ってきてくれた人たちも含めて、ひとりじゃなくて「私達のアルバムだな」という、そういう気持ちがします。
 
朝倉: なので、出来上がったこのアルバムを、いろんなシチュエーションで皆さんに聴いていただけたら嬉しいなと思っていて……。それで、今、いろんなものをすぐに見ることができるし、すぐに聴くことができるし、だからこそ、いいこともたくさんあるんだけれど、そうじゃなくて、思っていないところで自分が傷ついてしまったりとか、思ってないところで、本当はこうしたいのに、何かこう、他の目が気になってとかで違う方に行っちゃったりとかっていう……、まあ、それもいい方に繋がるかもしれないけれど、なんかそんな情報がいっぱいの中だからこそ、本当の自分の気持ちみたいなのと向き合う時間、命とか人生とか自分と向き合う時間っていうのも、もっと取っていいんじゃないかなと思っていて……。「そうだ、ちょと自分の心を聞いてみよう」とか……。
 
朝倉: そして、そうなった後に、「自分はここに生まれてきてよかったんだな」って、「いるだけでいいんだな」「地球に生まれてきたことが本当に嬉しいな」と、何か思い出してもらえるような、そういうアルバムだったら嬉しいなって思って……、今、ツアーで回っていろいろ教えてもらっています。もちろん、CDを届けたときもそう思ってたし、ツアーでも、そういう気持ちで歌わせていただいてます。
 
ーー そういう思いで作っていても、このアルバムは、決して重たくはない。実に様々なタイプの曲が入っているし、曲も明るいし、歌声も明るいし、全体のトーンも明るく、シンプルに音を楽しめる。
 
ーー その中に、自然にさりげなくメッセージが入っているから、たとえば『ライフソング -Life Song-』(作詞:朝倉さや / 作曲:朝倉さや、solaya)の「生きているだけで素晴らしい」というメッセージなどが、スッと心に入ってくる。これまでの 朝倉さや の音楽活動の集大成のようなアルバムが出来上がった。心地よく、ずっと聴いていたくなるアルバムだ。
 
ーー アルバム 1曲目は、子供の頃の歌声を収録しているため、2曲目だが、実質、アルバムの 1曲目とも言える『ライフソング -Life Song-』は、アルバム全体を予告するような、象徴するような1曲だ。そして、この曲のイントロには、はっきりとは聴き取れないが、印象的な声(音)が入っている。
 
朝倉: あっ、これはですね、solaya さんがこのアルバムのアレンジ全部してくださっているんですけれども、いろんな世界の音楽とか、世界の歌い手さんが歌っていらっしゃるのを集めてくださって、「命の音」になっています。何かキラッって声がしたり、キラキラって音がしたり、何か宇宙を感じるような命を感じるような、何かここに生命がたくさん……、この1曲の中に、生命がたくさん輝いているっていう、何かそういうのを感じてもらえたら嬉しいなという……、はい。

3 民謡をポップスに昇華した「Future Trax」シリーズ 〜「あのときの衝撃が忘れられなくて…」〜
 
ーー アルバムには、『ライフソング -Life Song-』や『生きる』のほかにも、応援歌のような『ニワトリ』(作詞:朝倉さや / 作曲:朝倉さや、solaya)、母校の山形商業高校を舞台にした懐かしい気持ちにさせられるメロディの『山商』(作詞・作曲:朝倉さや)、下北沢を舞台に上京したころの気持ちを歌った『下北沢』(作詞・作曲:朝倉さや)や、楽しい『ドンドンパーンカレー』(作詞・作曲:朝倉さや)。さらに、フランス語にしか聞こえない山形弁で歌われたボサノバ風の『ラ・フランス 〜おフランスを添えて〜』(作詞:朝倉さや / 作曲:solaya)や、メキシカンで心地よい『グラシアス・メヒコ』(作詞:朝倉さや / 作曲:朝倉さや、solaya)など、実にさまざまなタイプの曲が収録されている。
 
ーー そして、これまでも、『最上川舟唄』や『真室川音頭』、『酒田甚句』や『おはら節』などの民謡を、16ビートのファンクやロックなどのポップスとしてアレンジした「Future Trax」(フューチャー・トラックス)シリーズも 4曲 収録されている。
 
ーー 16ビートのファンクになっている『おはら節 -Life Song-』や、『からめ節 -Last Song-』、高音の歌声が心地よく、祈りの唄のように聴こえる『最上川舟唄 -Life Song-』など、完全にポップスに昇華されている。民謡だけど、ポップスとして聴こえてくるし、普通に好きになってしまう曲ばかりだ。
 
ーー こういう民謡の「Future Trax」シリーズは、どうやって作られているのだろう?
 
朝倉: ああ〜、はいはいはい。あの〜、私がまずアカペラで歌って、それを、solaya さんがアレンジして世界を広げてくれているみたいな……。
 
ーー 毎回、民謡が「こんなになっちゃうの?」という感じがするのではないだろうか?
 
朝倉: いや、そうですよね。それが本当に新鮮で楽しくて、民謡の素晴らしさも残しつつ、また新しい世界が広がっていくのが本当に楽しくて……。一番、最初、『最上川舟唄』という民謡との融合で『River Boat Song』という曲ができたんですけど、もう、本当、あのときの衝撃が忘れられなくて。
 
ーー 私たち、素人の場合、民謡の何がわからないかと言うと、まず「譜割り」だ。つまり、拍子とか、拍数、ビートが一定ではないため、「譜割り」がさっぱりわからない。
 
朝倉: そうなんですよ〜、尺八の曲などはリズムもないです(笑)。いや、これは、本当にそうで、民謡って「拍」で出来てる世界じゃないんですよね(笑)。歌っている方がいて、お三味線の方がいて、歌に付いていくとか、雰囲気で尺八の人が付いてきてくれたりとか……。何だろう……、もちろん「こういうふうにしよう」っていうのはあるんですけれども、結局は、その歌い手さんがどう歌うかみたいな、そういうところがありまして……。
 
朝倉: ポップスだと「拍」が、優先順位 1位 じゃないですか。民謡は、なんか、そうじゃないところがあって、だから、「Aさんのおばあちゃん」が歌うとこうだけど、「Bさんのおばちゃん」が歌うとこうなるみたいな(笑)。
 
朝倉: それは、「その人がどう歌ってきたか」みたいなのが優先されてたりするんですけど、この『River Boat Song』(最上川舟唄)とか、この「Future Trax」シリーズは、ちゃんと「拍」があるので、私も歌うときに、ド民謡ではなくて、民謡の良さも残しつつ、ちゃんとポップスとして歌うということを意識しながらなので、だから、本当に新しい音楽だなっていうのがありますね。
 
ーー 2020年にリリースされた、メジャー 1st アルバム『古今唄集 〜Future Trax Best〜』を聴いても、単純に、ポップスとして、かっこいいと感じる。
 
朝倉: ありがとさまです。

4 Disc 2 の カバー集には、あの「テツandトモ」も 〜「ひとつまた夢が実現できたなという…」〜
 
ーー アルバムの Disc 2 には、『飾りじゃないのよ涙は』『異邦人』『時の流れに身をまかせ』『さよなら大好きな人』『島唄』『島人ぬ宝』『童神〜ヤマトグチ〜』と、朝倉さやがリスペクトするアーティストのカバー曲が収録されている。
 
朝倉: そうですね、この Disc 2 は、まさに、このコロナ禍で、なかなかライブも出来なくて、中止になっちゃったりとか、延期になっちゃったりとかして、本当にステージに立つことがなくなった時期があったんですよ。で、そんな中でも、やっぱり音楽でみんなと繋がっていたいという気持ちがあって、「38 Movie」(サーティーエイトムービー)と言って、毎日、YouTube で歌を投稿していたんですね。
 
朝倉: で、その中で、あらためて「素敵な曲だな〜」とか、「この曲みんなが楽しんでくれてるな〜」とか、あとは、「こういう歌のこういう歌い方もあったのか!」とか、いろんな発見とかあったりして、その中から結構選んだ曲もあったり、あとは、小さいときから大好きな曲だったり……。本当に、何だろうな……、これまでがあったからこそ選曲できた、リスペクトしてやまない曲の数々という……。
 
ーー これまで、多くの名曲を山形弁でカバーしてきたが、今回の名曲カバーでは、『さよなら大好きな人』だけが山形弁で歌われている。そして、さらに、「テツandトモ」の『なんでだろう』を山形弁にアレンジした『なすてだべ feat.テツandトモ』も収録されている。
 
朝倉: 「テツandトモ」さんの トモさんが山形のご出身で、私も山形出身で……。あの……、2013年にデビューしたんですけど、その年に、山形の「ふながたまつり」ってお祭りで出会ったんですね。そこでお会いして、私はずっと見て楽しませていただいてたので、ご挨拶したんですけど、その時に、ちょうど『ありがとさま』って CD を作っていて、「ジャケットをたくさんの人の笑顔で作りたい」っていうことで、「テツandトモ」さんと初めてお会いしたのに、「ちょっと お写真 撮らせていただいて いいですか?」って言って、「ジャケットに載っていただけませんか?」とかっていうお話したら、本当に快く OK してくださったりとか。
 
朝倉: あと、別の現場で出会ってもですね、すごくいつも楽しくて、カメラが回ってるとこでも回ってないところでもみんなを楽しませてくれて、とにかく尊敬してやまない大好きなお二人なんです。
 
朝倉: さらに、これは何か本当に偶然なんですが、テツさんが、滋賀ご出身で、solaya さんも滋賀で、高校が一緒とかっていう、そういう面もあったりとかしてですね。で、「今回、大切なアルバムを作っておりまして……」ってご相談させていただいて、参加していただくことになりまして。すごく嬉しかったし、楽しかったし、もうずっと歌い続けていたいなみたいな……。
 
ーー 「テツandトモ」でお馴染みの「なんでだろう?」のネタの部分も、今回、新しく作った。
 
朝倉: はい、「テツandトモ」さんが歌ってる部分は「テツandトモ」さんが考えられて、私が歌ってる部分は、私が考えました(笑)。
 
ーー そして、「テツandトモ」バージョンにはないメロディも追加されている。
 
朝倉: はい、そうなんですよ。ちょっと「コブシ・ゾーン」とかもあったりして……(笑)。で、すごい面白いことをしているのに、音楽はお洒落でっていう……ふふふ……(笑)。ミュージックビデオも、スーツでビシッと決めて……(笑)。いや、本当に嬉しい、ひとつまた夢が実現できたなという、そういう気持ちがあります。

5 プロデューサー solaya の存在 〜「素敵な部分をすごい引き出してくれる…」〜
 
ーー 朝倉さや にとって、デビュー前からその才能に注目し、育て、デビューに導き、さらに、レコーディングでは、アレンジやすべての楽器の演奏まで担当していたプロデューサー solaya の存在は大きい。「山形弁カバー」も「Future Trax」シリーズも solaya なくしては生まれなかっただろうし、もちろん、初めて作詞作曲した『東京』も、デビューもなかったかもしれない。音楽制作に関しては、ユニットみたいでもある。
 
ーー 朝倉さや にとって、solaya は、どういう存在なのだろう?
 
朝倉: ああ…………、solaya さんは solaya さんだな〜…………。すごい信頼しているし、信用しているし……、なんだろうな…………。あっ、なんか solaya さんは、ご自身もすごいずっと輝いていらっしゃるんですが、すごく人の良いところとか、人が持っている素敵な部分をすごい引き出してくれるっていうか……。
 
朝倉: だから、私も知らなかった「私の特徴」みたいなものとかも気づかせてくれて、それをまた音楽で表現できるし、私もそこに、歌いたいという思いが湧いてきて、本当に歌いたくて歌わせてもらってるというか、何かそういう部分が本当にある方だなと思って。
 
朝倉: それこそ「山形弁で歌を歌う」ってこととかも、上京してきたときは、多分、すごいもっと訛っていたはずなのに、そっちの19歳の私の方が「自分は訛ってねぇからな」みたいな気持ちでいたんだけど(笑)、「その自分がいま喋っている言葉、山形弁で歌ってみたらどうなるの?」っていう solaya さんのひと言から「山形弁カバー」が始まったんですね。
 
朝倉: で、さらに、民謡もずっと大好きだったし、今も大好きだし、それを何か新しい音楽との融合というですね、自分が想像もしたこともなかったような新しい世界に連れてってもらったりとかして……。
 
朝倉: そうですね……、あとは、本当に「歌手になるにはどうしたらいいんだろう?」っていう状態で、solaya さんに出会ったんですね。そのときに、「自分がイチから理論を全部教えてから曲を作るよりも、本当にいま思っていることや書きたいことを歌にした方が、新しい曲ができるんじゃないか」っておっしゃってくれたのがきっかけで、一番最初に『東京』って曲が出来たりしたので……。
 
朝倉: そうなんですよね……。なんか、いろんなことに気づかせてくれて、なんか冒険とか挑戦とか楽しいことが、私、大好きなんですが、何か、よりいろんな人をワクワクさせてくれるみたいな、何かそういうのが楽しいなって思って。
 
ーー 不幸なことに、solaya が、がんであることがわかり、余命宣告までされたことを間近で見ていて、感じたことや考えさせれたことも少なくないだろう。一般的に、若いうちは、「生と死」に向き合うことは少なく、「人は例外なく、死ぬことを前提に生かされている」ということは考えないものだ。それが、身近で、しかも極めて大切な人の身に起こったことで、たとえば、作詞や、歌っていくにあたっての気持ちなどに大きな影響を及ぼしたのではないだろうか?
 
朝倉: そうですね…………。もともと持ってはいたけど……、うう〜ん……、なんだろう……、この『ライフソング -Life Song-』の歌詞にもつながってくるんですが、「いま幸せである」ということを、しっかり見逃さずに感じて、そして、本当に、私もちょっとのことで悩んだりとか、迷ったりとかするんだけれども……。でも、やっぱり、コロナ禍とか、こういう大変なことになったけど、「さあ、どうやって笑おう」とか、「さあ、どうやってこれから歌っていこう」とか、そういう強い部分も人間にはあって……。
 
朝倉: いろんなものを感じたり見たりしながら、それでも「いまは幸せだ」っていうことを忘れずに、「いま、ここに生きていていいなということを忘れずにいよう」っていうことを、solaya さんのこともそうだし、このアルバムを作って、いろんなことを思い出したり感じたりしながら、あらためて思っている……、そういう感じがしてますね。
 
朝倉: 何か、それも含めて、やっぱりアルバム『Life Song』の『ライフソング -Life Song-』という曲は、このアルバムを象徴するような曲って思いますね。

6 山形生まれ、民謡育ち 〜「ずっと歌うことが大好きで生きてきたので…」〜
 
ーー 今回のアルバムの冒頭、「1」というタイトルの 1曲目には、朝倉さやが、幼い頃に家で山形県民謡を歌っている音源が収録されている。残されていた昔のカセットテープの音源だ。そういう、みんなが自然と民謡を歌うような家庭で育った。
 
朝倉: そうですね、とくに、ひいおばあちゃんと母が好きで……、でも、やっぱみんな好きで、私も小さい頃から民謡が好きで歌ってたんですよ。一番、最初は、『チューリップ』とか「♪ぞう〜さん ぞう〜さん」とかを覚えるみたいに、「♪ヨ〜エ サノ マカショ〜」って歌ってて(笑)。身近にあったので、本当に、同じような歌として歌うようになったので(笑)。それで、どんどん歌うことが好きになってきて……っていうのがあるので、やっぱり、自分の原点みたいな感じがしています。
 
ーー 小学校 2年生になると、民謡を本格的に習い始めた。
 
朝倉: そうですね。最初は、その「♪ぞう〜さん ぞう〜さん」さんとか、あとその『チューリップ』とかと同じように、同じ歌として好きだったんですが、「民謡っていうものが、どんなものなのか?」みたいな興味がちょっとずつ湧いてきて、「やっぱ好きだな」ってなっていったんですね。
 
ーー 小学 4年生のころには、三味線もはじめた。その頃は、どういう民謡が好きだったのだろう?
 
朝倉: あ〜、でもやっぱり、基本的には、今とあんまり変わってないかもしれないですね。
 
朝倉: あの……、(山形で)毎年、夏に「花笠まつり」が開催されるんですが、そこで『花笠音頭』をず〜っと聴いてきていたりしたので……、そうですね『花笠音頭』が好きだったりとか、あとは「難しいな〜」って思いながらも、なぜかずっと好きで歌い続けていた『最上川舟唄』とか、あとは『紅花摘み唄』とか……。そうですね、やっぱり最初は山形の民謡を覚えることが多かったので、山形の民謡が、その時はとくに好きだったんじゃないかなと思います。
 
ーー 小学校から中学校のころにかけて、民謡の全国大会「民謡民舞少年少女全国大会」にも出場し、準優勝1回、優勝2回という成績で、まさに「民謡日本一」に 2度なっている。
 
朝倉: あ〜、そうですね。(出場したのは)まわりから勧められたのと、自らと両方ですかね。
 
ーー 一方、民謡だけでなく、まわりの友達と同じように、普通にポップスも聴いていた。
 
朝倉: 私は、「スピッツ」さんとか「DREAMS COME TRUE」さんとか好きで聴いていました。なので、高校生のころとかは、休みの日とか、カラオケが 10時にオープンするとしたら、9時50分ぐらいには、もうみんなと一緒に並んで待って、フリータイムは全部歌いきって帰るみたいな……(笑)。なんか、とにかくもう既に、歌うことが大好きだったので。
 
朝倉: そうですね〜、カラオケでは、「DREAMS COME TRUE」さんとかよく歌ってましたけど、フリータイムでず〜っと歌えるので、時々、民謡も入れたりとかすると、友達はみんな「お〜っ!」みたいな……、はははは……(笑)。民謡自体を知らない「民謡って何なの?」って人が多かったので、「これが民謡か〜!」みたいな感じで聴いてくれて……。
 
朝倉: で、ホント、いろんな歌が好きで、民謡もポップスも演歌も大好きだったので、石川さゆりさんの『天城越え』を高校の文化祭のカラオケ大会で歌いました。
 
朝倉: クラスで 1人 出られたんですね、このカラオケ大会に。そんときに、「出たいけど、どうすっかな〜?」みたいな時に、私がいろんな歌を歌うってのを友達が知っているから、「出るべ〜」ってみんなが勧めてくれて、「出るんだったら演歌だべ」って言われて、それで『天城越え』で出たんですよ。
 
朝倉: そして、その文化祭で優勝したんですね。それで、最後の終演の校長先生の話の後に、全校生徒の前で、ひとりでアカペラで歌うみたいなことになって……。とにかく、本当、ずっと歌うことが大好きで生きてきたので……。

7 上京、歌手デビュー 〜「自分が思ったより働くっていうことがまず大変で…」〜
 
ーー そもそも、歌手になりたいと思ったのは、いつ頃だったのだろうか?
 
朝倉: それがですね、もうずっと物心ついた頃には「歌手になりたいな〜」って思ってて、中学校ぐらいには、もう「なる!」って思ってて、生きてきた感じですね。
 
朝倉: それで、中学生のときは、民謡歌手になりたいって思っていて、で、高校ぐらいから、「自分で曲を作って歌を歌っている人がいる」っていう、シンガーソングライターという存在を知るんですが、それも、自分が伝えたいことや、感じていること、表現したいことを曲で表現して、それを自分で歌っていくっていうことも素敵だな〜って思い始めて……。もちろん、その時も、民謡大好きだったんですけど、「自分はシンガーソングライターになる」と思って上京したっていう……。
 
ーー 高校を卒業すると、歌手になるべく、すぐに山形から上京した。しかし、何の当てもなかったため、とりあえず、東京のホテルに就職して、歌手になる道を模索した。
 
朝倉: そうです。会社員として働いて……。自分としては、休みの日とか、早番の後とかに、音楽教室に通ったりとか、あと、ギター教室に通ったりとか、オーディションを受けたりとかして、「どうやったら歌手になれるのか?」っていうのを模索しようと……。
 
ーー そんな中、2012年に、作編曲家でギタリスト、プロデューサーでもある solaya が主宰する音楽教室「Solaya Music School」を見つけ通い始めた。そこで、宿題として書いた曲『東京』で、その1年後、2013年、20歳のとき『東京』でデビューした。
 
朝倉: 通い始めたのは、え〜っと……、上京したその年の最後ぐらいか、1年くらいたったころですかね……。
 
朝倉: そうですね、上京して、もう「働くぞ」ってなっても、序盤とかは、自分が思ったより働くっていうことがまず大変で……。高校出てすぐだったので、わからないじゃないですか。その、イメージはしていたとしても、実際にやってみると大変で……。でも、そんな日々があったから『東京』という曲が出来たので、それはその期間であってよかったなと思います。
 
朝倉: それで、いろんな音楽教室を探したりしてるときに、そのシンガーソングライターコースっていうのを見つけて、 solaya さんと 夏海さんがやられてた「Solaya Music School」の門を叩いた……みたいな、そこが出会いでありました。
 
ーー 初めて作詞・作曲した曲が『東京』とは驚かされる。初めて作ったとは思えないくらいいい曲だ。そして、そこから、現実的に、歌手デビューを目指すことになった。
 
朝倉: そうですね、『東京』という曲ができて、「この曲で 1年後にデビューを目指すぞ」っていうその中で、そこに向けていろんな挑戦をしてみようっていうんで、まずは顔も出さないで、歌をインターネットで配信したんですよね、YouTube と ニコニコ動画 だったんですが。
 
朝倉: 『タッチ』とか『ロビンソン』を山形弁で歌わせていただいて、で、それを見てくれた方たちがすごい喜んでくれて、「新春 全日本なまりうたトーナメント」(テレビ朝日系、2013年1月)というのに出演させていただいたり、それをまた見てくれたり、ネットで広がったりとかして、山形の人が喜んでくださって、デビューする直前か直後ぐらいに、初めて、山形のクルマ屋さんの CMに出させてもらったりとかして、なんか本当に、いろんなご縁が繋がって、『東京』をリリースすることができたので、本当にありがたいと思いました。
 
ーー ほかにも『木綿のハンカチーフ』など、名曲の山形弁カバー「訛り歌」がネットで大きな話題となり、また、「新春 全日本なまりうたトーナメント」のテレビ出演も追い風となり、2013年4月5日にシングル『東京』で、20歳の時に歌手デビューすることができた。

8 人気曲『おかえり-manzumamake-』 〜「なんか、ツーッって涙が流れてて…」〜
 
ーー 初めて作詞・作曲し、デビュー曲にもなった『東京』は代表曲のひとつと言えるが、たとえば、2018年に発売された 6枚目のアルバム『サウルスティラノ』に収録されている『おかえり-manzumamake-』(「おかえり まんずままけ」= 山形弁で「まずご飯を食べなさい」の意味)(作詞・作曲:朝倉さや)なども人気の曲だ。王道のポップスバラードで、風景が見えて、言葉の裏側にある気持ちが伝わるいい歌だ。
 
朝倉: ありがとさまです……。今の時期、さらに、「おかえり」と「ただいま」の温かさとか身にしみてこう感じることがたくさんあったりするので……、そうですね……、聴いてもらえたら嬉しいですね。
 
朝倉: 久しぶりに、山形に、仕事じゃなくて帰ったときに、ひとりで新幹線に乗って帰って、まさに空見て、「なんかゆっくり雲流れてるな〜」と思って……。そしたら、母が車で迎えに来てくれたんですけれども、母が何気なく「おかえり」って運転席から言ったんです。で、私が助手席で「ただいま」って言ったら、なんか、ツーッって涙が流れてて、「何の涙なんだろう?」って思ったんですけど、なんか自分が気づかないうちに、何かわかんないけど、「いっぱい いっぱい だったんだろうな」みたいな……。
 
ーー まさに、そんな風景が自然と浮かぶようないい歌だ。とくに、地方出身者には染みる。作詞はともかく、こういう曲は、どういうふうに作っているのだろう?
 
朝倉: えっと〜、全然、上手ではないんですが、ピアノの鍵盤でコードを弾いたりしながらやったり……。
 
朝倉:(初めて作った)『東京』は、ギターで作りました。あんときは、Gコードしか知らない時代だったので(笑)、ギターの Gコードを「じゃんじゃか」ってやりながら、日記を見ながら鼻歌で作って、solaya さんに、「今度、こういう歌ができました」って、コードとかなしで隣で歌うということやりまして……。
 
朝倉: あと、普段は solaya さんとずっと一緒にいることってあんまりないんですけど、今回、レコーディングをしたりとか、制作期間で、solaya さんと一緒にいることが、その期間、多かったので、 solaya さんが、ギターでコードを弾いてくださって、そこに「こういうメロディーがどうかな」ということで私が鼻歌で歌って、それを、仮歌みたいな感じで、すぐレコーディングして、そっから整えていただいていくって感じですかね。そういうのが今回多かったですね。
 
朝倉:あとは、全然 違う曲のインストに鼻歌で歌ったものを solaya さんにお渡しして、またコードもガラっと変えてもらったりとか、本当、いろんな作り方でやらせてもらってます。
 
ーー そんなに楽器に長けていないにも関わらず、これほど、いい歌がたくさん書けるというは、まさに、音楽は技術ではなくセンスだということを感じさせる。そういうセンスは、聴いてきた音楽に大きく影響されるものだ。民謡のほかに、影響を受けた音楽には、どういうものがあるのだろう?
 
朝倉: あ〜、でも、やっぱり……、そのずっと聴いてたっていう意味では「DREAMS COME TRUE」さん、「スピッツ」さん、あと アンジェラ・アキ さんとかも聴いていましたね。
 
朝倉: なんか、自分の世界観を持ってるというか……、自分自身も考えてらっしゃるし、いろんなこと考えさせてくれるっていうか、自分が経験したことじゃないのに、そこの世界に連れてってくれて、この日常が、より何か鮮やかに見えてくるというか……。なんか、そういうのが「素敵だな」って思いながら、「シンガーソングライターになりたい」と思ったので、そういう意味では影響されているのかもしれないですね。
 
朝倉: そして、曲作りということでは、一番最初に作った『東京』が、つけていた日記からできていたりしたので、日常から感じることとか、日常で起こったことの派生とかで、今も作っていくことが多い気がしてますね。
 
ーー たしかに、朝倉さやが作る歌には、今回のアルバムでもわかるように、日常や、ごく身近なところがテーマになってるものが多い。最近、聴いている音楽を聞いてみた。
 
朝倉: あ〜、なに聴いてるかな……、でも、これ完全に solaya さんのアレンジの影響なんですけど、全然 知らない国の「ベスト100」とかを流して聴いてます、ふふふ……(笑)。「この国は行ったことがないけど、こんな音楽が聴かれているんだ」とか、なんかイメージしながら……なんか、そういうのが多いですね。
 
ーー 今回のアルバムに収録されている『ラ・フランス 〜おフランスを添えて〜』『グラシアス・メヒコ』などは、そういうところから発送されたのかもしれないが、いずれも、詞も曲も実によくできている。
 
朝倉: いや〜、ありがとうございます。音楽って、旅ができるんだっていうことが、すごく楽しいなと思って。

9 これからの活動 〜「生活や心に寄り添えるような歌を歌っていきたい…」〜
 
ーー 朝倉さやの歌は、日本国内にとどまらず、海外でも人気だ。オーストラリア、スウェーデン、フランス、スペイン、トルコ、インドネシア、タイ、台湾 などでは、iTunes や Apple Music の 配信チャート「J-Pop カテゴリー」で、単曲やアルバムが「TOP 10」にランクインしている。とくに、スペイン、タイ、台湾 では アルバムで 1位を獲得している。
 
朝倉: いやあ〜、なんでですかね……、海外の方に聞いてみたいですね〜、ははは……(笑)。だって、トルコとかで 1位って……、ははは……(笑)。どこで知ってくれたのかとか、どんなタイミングで聴いてくれてるのかとか、本当に聞いてみたいですね。でも、うれしいです。
 
ーー 言葉がわからない歌にも関わらず、それほど聴かれるというのは、楽曲の良さはもちろん、やはり、圧倒的な歌声があるからだろう。今回のアルバムに収録されている『さよなら大好きな人』も、最近、ハンガリーで「J-Pop トップミュージックビデオ」の 2位にランクインしたりしている。
 
朝倉: でも、私もそれこそ、全然、知らない キューバの「TOP 100」とかも聴いてるので、それって、言葉がわからなくても、何だろう……、楽しい気持ちになったり、なんかしんみりしたりするので、そういうのもあるのかな〜みたいな……。「音楽だからこそ、何か繋がるものがきっとあるんだろうな」というふうには感じますね。
 
ーー ところで、その魅力的で、圧倒的な歌声を、自分ではどう思っているのだろうか?
 
朝倉: あはははは……(笑)。自分の声……、好きですね。そうですね、でも、好きでいられるのも、「受け取ってくれる人がいるから」っていうのがあるので、そういうのはあるんですけれども……、しっかり好きでい続けたいですね。
 
ーー 朝倉さやの場合、ただ単に「声量がある」というのではなく、響きが豊かで、本当によく鳴っていて、その場を圧倒するような歌声だ。しかも、チカラで歌っているわけではないので、聴く方もチカラが入らず、圧倒的な響きにも関わらず、リラックスして聴ける。だから、歌っている言葉が伝わる。そして、耳に残る高音だけでなく、実は、低い方の響きもすごくいい。高くても低くても音圧が変わらない。
 
朝倉: ありがとうございます。歌っていてすごく楽しいので、それは何か「好き」なのかもしれないですね、その……、声も、歌うことも含めてね。
 
ーー さらに、歌のセンスも素晴らしい。ちゃんと言葉が伝わるように語るように歌うし、たとえば、音域的には、全然、地声でも出るような高い音でも、あえて、裏声で歌っているところもある。
 
朝倉: あ〜、感覚的なものが多いかもしれないですね……。あとは、その、レコーディングの時には考えてますね、「ここはもっと優しい方がいいんじゃないか」っていう……、そういう意味では考えてるのかもしれないですね。
 
朝倉: なんとなく、自分の中で、「こうやって出したら、こういう声が出る」っていうのがわかるじゃないですか。そうしたときに「こっちの方がいいんじゃないか」というのを選択していることはありますね。曲全体と、今の状況と、今の自分とかを考えて「どっちで出す」みたいな選択というか……。
 
ーー メロディやアレンジ、曲の雰囲気などで、自然と、無意識に選択しているのだろう。今後、どういうふうになっていきたいのか聞いた。
 
朝倉: そうですね……、でもやっぱり、聴いてくれる人が、何かほっとしたり、あと、自分自身も音楽があったから、元気になったりとか、乗り越えられたなってことが本当にたくさんあるので、寄り添えるような……、人の生活や心に寄り添えるような歌を歌っていきたいし、作っていきたいなっていうふうに思っていて……。
 
朝倉: あとは、ワクワクすることが大好きなので、思いもしないようなことをたくさん……、みんなをびっくりさせながらいきたいなっていう、そういう気持ちがずっとあります。
 
ーー 今年、2022年の7月には、フジロック(FUJI ROCK FESTIVAL ’22)にも初出演した。
 
朝倉: あ〜、本当、なんか「心躍る方が未来の方向」というのがファンクラブのキャッチコピーでもあるんですけれども、本当、なんか、いろんなところに旅しながら、導かれながら、時々、しっかり自分でも選択しながら、「旅しながら歌っていきたいな」というのはありますね。
 
朝倉: それが、もしかしたら……、2018年には、田んぼでコンサートしたりしたんですけれども、田んぼコンサートだったりするかもしれないし、それこそ、先日、出演させていただいたフジロックかもしれないし、はたまた「佐藤さんちのばあちゃんち」かもしれないし……、何か「どこどこ」というよりも、そこでしっかり歌っていきたいっていう、そういう方が大きいかもしれないですね。


 (取材日:2022年8月17日 / 取材・文:西山 寧)





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YouTube(本文中に登場したおもな曲)


「生きる」

「ライフソング」

「ラ・フランス ~おフランスを添えて~」

「なすてだべ feat.テツandトモ」

「東京」

「おかえり manzumamake」

「River Boat Song」(最上川舟唄 Future Trax)Live

「Mr.Mamurogawa」(真室川音頭 Future Trax)

「ロビンソン」(山形弁カバー)

「木綿のハンカチーフ」(山形弁カバー)