第17回 三木聖子「三枚の写真」(1977年) -MUSIC GUIDE ミュージックガイド

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第17回 三木聖子「三枚の写真」(1977年)

はたちの私 あなたは 22 …
写真の春に あなたは いない ……
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三木聖子 「三枚の写真」

三木聖子 「三枚の写真」(4:14) 作詞:松本隆、作曲:大野克夫、編曲:船山基紀  B面「悲しみ専科」
1977年(昭和52年)1月25日発売 7インチ シングル レコード (45rpm、ステレオ) ¥600-
N-11A NAV RECORDS(キャニオン・レコード)

高校2年の時、渡辺プロダクション制作のオーディション番組で準優勝し高校卒業後に上京、1975年に沢田研二主演のテレビドラマ「悪魔のようなあいつ」で女優デビューした三木聖子の3枚目のシングル。「悪魔のようなあいつ」での演技力が評価され、その後、数多くのドラマに出演。1976年6月、荒井由美 作詞作曲の「まちぶせ」で歌手デビュー。「銀座NOW」にもレギュラー出演。同年10月、同じく荒井由美による2ndシングル「恋のスタジアム」を発売、12月にはアルバム「聖子」を発売。翌1977年1月に、3rdシングルとして「三枚の写真」を発売するが5月には引退。上京後、わずか2年2か月、歌手デビューから引退までは、たった11か月の活動期間で、シングル3枚、アルバム1枚、持ち歌は全部で13曲しかない。


 ファミレス大手の「スカイラーク」は、「ガスト」「ジョナサン」などの深夜営業をヤメるというニュースが大きく取り上げられていました。現在、24時間営業している約150店を含む約560店で深夜の営業時間を短縮するそうです。2017年には、同じくファミレスの「ロイヤルホスト」が、24時間営業を全廃しています。人手不足とともに、若者を中心に深夜の来店が減少していることが理由のようです。

 一時期、深夜営業の喫茶店やファミレスは、若者、学生の溜まり場で、朝まで夢を語り合う場所でした。ユーミンが「深夜のファミレスで聞こえてきた会話を参考に歌詞を書いた…」なんていうエピソードもあります。1972年から24時間営業型の店舗を展開している「スカイラーク」では、かつては、深夜0時〜午前6時の売上が、1日の売上の1割強を占める店舗もあったそうです。

 このニュースの街頭インタビューでは、若者が「いまは SNS とかで繋がってるから、べつに集まる必要もないし…」と答えていました。なるほど…だから今の若者は集わないのですね…。週末、朝まで、友達とワイワイ取り留めのない話をしていた時間は、とても楽しい時間だったような気がしますが、今の若者たちは楽しくないのでしょうか…。

 もっとも、それ以前は、飲み屋以外の飲食店は、遅くても夜8時とか9時には閉まっていましたから、若者の語らい場は公園とかでした。なので、結局、もとに戻ったような気もしますが、まあ、時代とともに、いろいろと変わってゆくものなのですね…。

 変わると言えば、写真も大きく変わりました。そもそも、写真とは、スチールカメラで写した映像を印画紙に焼き付けたモノのコトでした。デジカメが出始めのころは、まだ、みんな写真屋さんでプリントしていましたが、パソコンやスマホの進化とともに、写真屋さんは激減しました。

 いわゆる「デジタル・ネイティブ」と呼ばれる今の若者たちにとっては、写真とは、パソコンやスマホの中に保存されるデジタルデータの画像のコトであって、紙に焼いたモノではありません。証明写真くらいしか、紙になった写真を持ったことがないのではないでしょうか…。レコードやCDが、デジタルデータになったのに似ていますね。

 写真の画像そのものがキレイに鮮明になるコトは良いことですし、劣化しないという点でも、デジタルデータは優れています。みんなで撮った写真も、今では、SNSで一瞬にして全員に見せるコトができます。
 昔は、レコ評を雑誌に掲載してもらうのに、「紙焼き」や「カラーポジ」を速達で送ったりしていましたが、今では、メール添付で送れば良いだけです。ずいぶんラクになりました…。

 ですが、紙に焼かれた古い写真には、なんとも言えない味わいがありますし、カタチあるモノとして、手に取って見ることができるという意味で、デジタルにはない良さがあります。カタチがあれば、共有財産として意図せず残っていったりもします。

 「あらぁ〜 オトーサンのこんな写真があったのね〜」と、見たことのなかった親や兄弟の見たコトのなかった写真が、思わぬところから出てきたりします…。
 パソコンやスマホに保存された写真データは、よりパーソナルなモノで、意図せず他人の目に触れることは、そうそうありません。目的のもの以外と偶然に出会うこともありません。

 まさか、写真屋さんが世の中からなくなるとは思っていなかったように、そのうち、技術の進化で、写真もホログラムみたいな3Dになっていったりするのでしょうか…。

 今回の『三枚の写真』は、「そんなの知らなぁ〜い」というヒトも少なくないかもしれません。もともとは、三木聖子の3枚目で最後のシングルになった曲です。
 もしかしたら、石川ひとみのカバーの方が、ちょっとだけ有名かもしれません。『まちぶせ』の次に発売された、石川ひとみの12枚目のシングルでもあります。
 今回は、オリジナルということで、三木聖子バージョンで紹介していますが、石川ひとみの方も甲乙付け難い良さです。

 石川ひとみと言えば、こちらは、ご存知の方も多いかと思いますが、最大のヒット曲、ユーミンが作詞作曲した『まちぶせ』も、もともとは、三木聖子への提供曲で、三木聖子の歌手デビューシングルです。同じナベプロ(渡辺プロダクション)所属で、年齢で約3年後輩だった石川ひとみが、後にカバーしてヒットしたということです。

 ちなみに、三木聖子と石川ひとみは、レコード会社も同じで、キャニオンの「NAV」レーベルでした。アイドル歌謡曲専門レーベルで、他に『青春の坂道』の岡田奈々、『横浜いれぶん』の木之内みどりらがいました。

 で、1977年2月に発売された三木聖子の『三枚の写真』は、作詞:松本隆、作曲:大野克夫、編曲:船山基紀という豪華トリオで、同年5月には、このトリオによる作品、沢田研二の『勝手にしやがれ』が大ヒットします。イントロの印象的なピアノは羽田健太郎です…どうでもいいことですが。

 三木聖子バージョンも石川ひとみバージョンも、基本的にキーもアレンジも同じで、楽曲の雰囲気としては、そんなに違いはありませんが、三木聖子の方は、アコギがメインのややフォーク調のイメージで、石川ひとみの方は、ややテンポが速く、エレピが中心のアイドル歌謡といったキラキラした感じがします。

 石川ひとみは、その抜群の歌声だけで魅了させることができますから、歌い方も、よりドラマティックな感じになっています。一方、三木聖子の方は、優しい歌声と、素直で語るような歌い方で、楽曲と詞の世界がよく伝わってきます。
う〜ん…どっちも好き…。
(往年の石川ひとみファンとしては、「君は輝いて天使にみえた」「くるみ割り人形」「三枚の写真」が石川ひとみベスト3です…全くどうでもいいコトですが)

 別れてしまった2歳年上の彼との、思い出の3枚の写真を眺めながら涙を流す私…。3コーラスの中で、「16歳の夏」「17歳の秋」そして「20歳の春」へと、時間の経過とともに思い出を辿るというストーリー仕立ての見事な歌詞です。おそらく詞先(歌詞を最初に作る「作詞先行」の意味)ではないかと想像しますが、コトバが語るように作られたメロディも秀逸です。超一流の作曲家は、ちゃんとコトバが伝わるようにメロディを作ります。

 ちなみに、三木聖子は、松田聖子と同じ福岡県の久留米出身で、どちらも「高校はカソリックの学校で厳しかった…」と言っていたことから、同じ高校出身と思われているフシがありますが… ちがうと〜! 松田聖子は、吉田羊も通っていた久留米信愛女学園で(デビュー後は堀越)、三木聖子は大牟田の明光学園です。

 そんな三木聖子は、現在、仙台一の繁華街、国分町にあるクラブ「MUMU」(ムム)のママをしているそうで、店で『まちぶせ』や「三枚の写真』を変わらない声で歌うこともあるそうです。聴いてみたいですね。

 ところで、昔あった「百年プリント」って、どうなったのですかね…?


(2020年1月 西山 寧)

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ウィキペディア 三木聖子


石川ひとみ 「三枚の写真」(3:50)
作詞:松本隆、作曲:大野克夫、編曲:葦沢聖吉  B面「夕暮れて」
1981年(昭和56年)10月5日発売 7インチ シングル レコード (45rpm、ステレオ) ¥700-
7A0116 NAV RECORDS(キャニオン・レコード)