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第6回 石川さゆり「夫婦善哉」(1987年)

ないない づくしも 才覚 ひとつ …
辛抱 がまんの 花が 咲く ……
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石川さゆり「夫婦善哉」

石川さゆり「夫婦善哉(めおとぜんざい)」(4:00) 作詞:吉岡治、作曲:弦哲也、編曲:山田年秋
1987年(昭和62年)2月1日発売 7インチシングルレコード (45rpm) AH-794 ¥700- 日本コロムビア

1973年、「コロムビア・プリンセス」のキャッチフレーズで、日本コロムビアよりシングル『かくれんぼ』でアイドル歌手としてデビューし、日本を代表する歌手となった石川さゆりの46枚目のシングル(これまでにシングル125枚をリリース)。第29回日本レコード大賞・金賞受賞曲。1987年(第38回)と、2006年(第57回)の『NHK紅白歌合戦』で歌われた。
1993年、ポニーキャニオンにレコード会社を移籍し、1994年には『ベストシングルシリーズ』として『天城越え』との両A面の8センチシングルCDとして再発売(コロムビア盤と同音源)。1987年のコロムビア盤(オリジナル・バージョン)のほかに、2000年にテイチクエンタテインメントへレコード会社を移籍後、若草恵の編曲で再録音したバージョンがあり、2005年『定番 BEST SINGLE』シリーズとして12センチCDシングルで発売(カップリングは『滝の白糸』)。

 雑誌『東洋経済』の記事によると、日韓関係が冷え込んでいるにも関わらず、日本では、今、空前の「韓国文学ブーム」のようです。日本にはない「フェミニズム文学」なるものであることが人気の要因だそうです。
 そういえば、数年前には、「日韓の国際結婚がブーム!」という記事を見たコトがあります…。そもそも、そんなもんがブームになるのかどうかはともかく、一般的に、国際結婚というモノは、その言葉のイメージに反して、わりとうまくいくことが多いようです。なぜなら、言葉や文化など、お互いの背景があまりに違うため、お互い「ゼンゼン違う」という前提でスタートするからです。

 私たちは、とかく、「相手もジブンと全く同じように考えている」と無意識に思ってしまいがちです…。
 でも、そんなハズはありません。どんなに身近なヒトであったとしても他人であって、ジブンと全く同じヒトはいないワケですから、当然、考え方も違って当たり前です。距離が近く、つきあいが長くなるほど、そういう「当たり前」を忘れ、「勝手な勘違い」の傾向が強くなり、モメたりケンカになったりします…。
 ところが、国際結婚の場合、「違う国の人」だから、はっきりしています。当然「考え方も違う」と常に認識しているからこそ、意外とうまくいくのではないでしょうか…。

 しかーし、それは何も国際結婚に限ったコトではなくて、ホントは、ワタシたち、全てのヒトに当てはまるコトです。そりゃ、価値観が似ていて、気の合うヒトであれば、発想やイメージが一致するコトも少なくないでしょう。でも、違うコトの方が多くて当たり前なんです。でも、忘れちゃうんだな〜。
 そこをキチンと日頃から意識しておくコトが、お互いに相手を理解するコトにつながり、「なんでよ〜!」「なんでだよっ!」とモメるコトも少なくなります(多分)。
 だから、今日からは、家族やパートナーのことを「外国人」だとか、いっそのこと「火星人」だとか思うようにしましよう。そうすれば、より理解も深まり、ハラも立たなくなるかもしれません…。

 そんなハナシはともかく、この『夫婦善哉』に出てくる、「浮草ぐらし…」と言っている「あなた」が、「ついてゆきます…」と言う「わたし」のコトを、どれだけ理解してくれているのかわかりませんが、少なくとも、「わたし」は、「あなた」のコトを「違うヒト」としてキチンと認識していて、よく理解もしていて、それでいて100%尊重しています‥。休みの日にゴロゴロしていると、「掃除の邪魔だから!どっか出かけてらっしゃい!」とか言われてしまうワタシたちにとっては、全くもって羨ましい限りです…。

 『天城越え』(『夫婦善哉』のひとつ前のシングルで、作詞作曲も同じコンビ)の作詞でもよく知られる吉岡治は、自らも「暗くて重い歌を作る」と言っているように、『命くれない』『細雪』『さざんかの宿』『大阪しぐれ』『暗夜航路』『演歌みち』など、女の情念を強烈に描いた演歌が多くありますが、実は、初期の作品には、『八月の濡れた砂』『真赤な太陽』『真夜中のギター』などもあったりしますし、なんと!幼稚園児に大人気の『あわてんぼうのサンタクロース』も吉岡作品だったりして、その幅の広さに驚かされます。
 一方、島倉千代子の『鳳仙花』(1981年、作詞:吉岡治、作曲:市川昭介)や、とくに、大和さくらの『王将一代 小春しぐれ』(1988年、作詞:吉岡治、作曲:市川昭介)などでは、『夫婦善哉』と同じように「ひたすら尽くす女」を描いています…。

 余談ですが、『王将一代 小春しぐれ』と言えば、大阪の将棋棋士・坂田(阪田)三吉をモデルにした歌詞は、村田英雄の『王将』(1961年、作詞:西條八十、作曲:船村徹)が最初です。でも、その有名な妻の名前「小春」は、実は芝居と映画の中だけで、三吉の本当の妻の名前は違います…。
 また、こっちは三吉ではなく、落語家の初代・桂春団治が主人公の歌ですが、都はるみと岡千秋によるデュエット曲『浪花恋しぐれ』(1983年、作詞:たかたかし、作曲:岡千秋)も、『夫婦善哉』とは、モチーフがよく似ています。

 これら、『王将』の「小春」や、『浪花恋しぐれ』の「お浜」、そして、もちろん、森繁久彌と淡島千景が主演で1955年と1963年に公開された映画『夫婦善哉』(織田作之助の小説が原作で、その後、何度もテレビドラマ化されている)に出てくる法善寺横丁のぜんざい屋『めをとぜんざい』がヒントとなり、この歌詞ができたのではないでしょうか…。

 国鉄がJRグループ7社に分割民営化され、NTTがショルダーホンを小型化したのに900gもある携帯電話機を初めて発売し、俵万智の『サラダ記念日』がベストセラーとなり、マイケル・ジャクソンが来日して後楽園球場でコンサートを行った…そんな1987年、オリコン週間シングルチャートでは最高25位と、当時は大ヒットとはならなかったものの(あの『天城越え』も、当時はオリコン週間シングルチャートで最高46位でした)、30年以上経った今も愛されている名曲です。テレビなどでは、2番がカットされて、1−3番で歌われることも少なくないですが、2番の歌詞がまたイイんです!

 ちなみに、MUSIC GUIDE『注目歌手カタログ』でも紹介している工藤あやのが、昨年、2018年にアルバム収録曲として『夫婦善哉』をカバーしています。石川さゆりの歌唱にはかなわないものの、若々しく新鮮な『夫婦善哉』が聴けます‥。

 「掃除の邪魔になるから、どっか外行ってきなさい!」と言われても、「なにがあっても… 笑顔千両で 生きてゆく…」という強いココロを持ちたいものです…。

 ホラ、聴きたくなってきたでしょ…? 

(2019年11月 西山 寧)

『夫婦善哉』歌詞を見る


石川さゆり 歌詞一覧
作詞:吉岡治 歌詞一覧
作曲:弦哲也 歌詞一覧

1987年のヒット曲 タイムマシン

収録CD『石川さゆり 2018年 全曲集』(テイチク盤)amazon

石川さゆり レコードメーカー 公式サイト
石川さゆり 公式サイト

ウィキペディア 石川さゆり