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第5回 郷ひろみ 「よろしく哀愁」(1974年)

会えない時間が 愛 育てるのさ …
目をつぶれば 君がいる ……
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郷ひろみ 「よろしく哀愁」

郷ひろみ 「よろしく哀愁」(2:54) 作詞:安井かずみ、作曲:筒美京平、編曲:森岡賢一郎
1974年(昭和49年)9月21日発売 7インチシングルレコード (45rpm)
SOSB-180 ¥500- CBSソニー

1972年、シングル「男の子女の子」でデビューした郷ひろみの10枚目のシングル。自身が酒井和歌子と共演したテレビドラマ『ちょっとしあわせ』の主題歌にもなり、50万枚を超すセールスを記録。オリコン・シングル週間チャートで、ジャニーズ事務所所属歌手として初の第1位、1974年度年間16位。1978年には、13枚目のシングル「誘われてフラメンコ」(1975年)との両A面シングルレコード『ゴールデンシングル』として再発売(06SH-302)。1989年には、カップリングを「お嫁サンバ」(1981年)に変え、8センチシングルCDで再発売。1975年発売、5枚目のアルバム『ひろみの旅』にも収録。2004年には、TOKIOの長瀬智也が出演した『スバル・フォレスター』のCMソング(長瀬智也が歌唱)にも起用され、若い人にも知られるようになった。

 「生まれ変わった東京モーターショー」というキャッチフレーズで『第46回 東京モーターショー 2019』が開催中です。これまで『東京モーターショー』と言えば、その名のごとく「オトナ向け」で「クルマ好きのヒト向け」でした(あるいは、コンパニオンのお姉さん好きのヒト向け…)。
 それが、今年からは一新、日本自動車工業会会長でもあるトヨタの豊田章男さんの主導で、クルマやバイクに限らずオールインダストリーで、「未来の暮らし」や「未来の街」まで展示されているようです(まだ行ってません…)。さらに、高校生以下は入場無料にし、子供向けの展示や体験イベントも豊富なようです(まだ行ってないので…)。「若者のクルマ離れ」という問題だけでなく、将来の人口の減少への危機感が感じられます…。

 現在、日本の総人口は約1億2614万人。将来の人口予測では、約50年後の2070年には8400万人、約80年後の2099年には、今の約半分の6600万人になるという衝撃的な数字も出ています…。数学はニガテなので、よくわかりませんが、この計算でいけば、そのうち日本人は5人くらいになってしまうのではないかと心配になります…。
 実際、国立社会保障・人口問題研究所所長の森田朗氏は、「現在の出生率が続けば、西暦3000年を過ぎて遠くないうちに1名になり、その後ゼロになる。日本人は「朱鷺」のように絶滅危惧種になる」と言っています…。トキって…。

 ハナシを戻します。今では、ハイブリッドや電気自動車が登場していますが、しかし、クルマ自体は、昔とそう変わっていないように感じます。もちろん、ガソリン車が全て電気自動車になり、自動運転が完全に実用化されれば別ですが、「4輪で内燃機関、ハンドルで運転」という基本的なトコは、1970年代と変わっていません(1960年代ころまでは、時々ひっくり返っていた『オート三輪』というのもありましたが…)。
 しかーし、我々が子供のころには、まさか、街の八百屋や本屋やレコード屋やカメラ屋がなくなるなんてコトは、夢にも思っていませんでしたし、やたらと重量があり、女性は受話器を上品に両手で持っていた『黒電話』が、ひとり1台の個人ケータイになるなんて、想像もできませんでした…。

 カノジョに電話するには、家族という大きなカベが存在していたあの時代、「そのカベをどうやってクリアするか…」というコトにアタマを絞ったものです…。
 現在、40代以上で、ひとり暮らしの経験のある方であれば、ジブンの部屋に、ジブン専用の電話が引かれた日の嬉しさを覚えていることでしょう。それはそれは、もう、パ〜ラダイスでした…「コレで、あのヒトと、何時でも心置きなく電話ができる〜」。
 それが、いまや、ケータイの時代。年頃のムスメさんを持つオトーサンは、気が気ではないと思います。いっそ、「未成年の娘への着信は、全て一度、オトーサンのケータイにつながる」なんてサービスは、いかがでしょう…。

 ちなみに、最近の若者は、待ち合わせの約束を細かくしません。「じゃあ6時前くらいに、渋谷らへんね〜」というように、ものすご〜くアバウトです。ケータイがなかった時代には、「6時半に、渋谷駅北口、ハチ公前の噴水の池のハチ公側の方!」といったように、「何時にドコ」を極めて明確に決めていたもんです…。
 そのうえ、もしも予想外に仕事が伸びてしまい、待ち合わせに遅れることになっても、ケータイなどありませんから、連絡のしようがありません。「仕方なく、カノジョを延々と待たせてしまう」というコトも、当たり前に見かける光景でした…。

 待ち合わせは、今よりずっとスリリングなモノでした…。しかし、そこにはドラマもありました。

 喫茶店での待ち合わせならともかく、駅の改札口で何時間も待ってくれた上に、「ダイジョ〜ブ… ワタシ そんなに待ってないから…」なんて言われた日にゃアナタ…たまりませんよ。より愛情が深まるというものです。
 逆に、「アタシ〜 時間にル〜ズな人 キライっ!」となって、スグに帰ってしまうカノジョなら、それまでというコトです…。そういえば、野口五郎『私鉄沿線』(1975年)にも出てくる「駅の掲示板」なんてモノも大活躍していましたね…。

 今と比べれば、圧倒的に不便だったあの頃、でも、それが不幸だったかと言えば、そうとも言えません。

 黒電話のあの頃は、会えない時間に、「いま、なにしてるのかな…」とか、「今度、電話した時にはアレを話そう…」とか、「今度、会う時には、あそこに行こう…」などと、いろんなコトをイメージして、延々と考えたりしていたものです…。そういう「想像力をフル稼働させる時間」がそこにはありました。
 今なら、直接電話するコトはモチロン、メールやラインなんかもあって、たとえば、付き合い始めたカップルなんかは、ほぼ24時間、常に連絡しあっているようなもんです…。それが、今の時代ですから、それで良いのですが、テクノロジーの進歩とともに失われてしまった「想像する豊かな時間」を懐かしく思います…。

 小野田少尉がルバング島から帰国し、中日ドラゴンズが星野仙一の活躍で20年ぶりに優勝し、長嶋茂雄が「わが巨人軍は永久に不滅です」と言って引退し、『アルプスの少女ハイジ』が放送され、『ゲイラカイト』や『モンチッチ』で遊びながら、「英語でやってごらんよ!あんた英語ダ〜メね〜 クイントリックス!」とか言っていた1974年、『よろしく哀愁』は、当時、遠距離恋愛をしていたヒトはもちろん、そんな「会いたくても、会えない!」という時間を過ごしていたヒトたちの心情を、見事に表現した歌です。
 当時は、よくわからず聴いていた歌詞も、ようやく今になって、そのホントの意味がわかったりして、今聴くと、より心に響きます。

 作詞は、『草原の輝き』『赤い風船』『恋のしずく』『ドゥー・ユー・リメンバー・ミー』『経験』『わたしの城下町』『危険なふたり』『若いってすばらしい』『何も言わないで』『折鶴』『古い日記』『にがい涙』『愛・おぼえていますか』など数多くの名曲で知られる安井かずみ。「みナみカズみ」の名義で、『ヘイ・ポーラ』や『レモンのキッス』の訳詞も手がけています。

 作曲は、日本の「作曲作品の総売上枚数」第1位の筒美京平。『男の子女の子』『さらば恋人』『ブルーライト・ヨコハマ』『木綿のハンカチーフ』『また逢う日まで』『わたしの彼は左きき』『ロマンス』『東京ららばい』『たそがれマイ・ラブ』…などなど、それはもう数えきれません。マッチの『ギンギラギンにさりげなく』や、少年隊の『仮面舞踏会』、『サザエさん』まで作曲しています。

 ちなみに、この年、1974年は、『なみだの操』『あなた』『うそ』『ふれあい』『学園天国』『くちなしの花』『積木の部屋』『岬めぐり』『二人でお酒を』『夜空』『ひと夏の経験』『おかあさん』、洋楽ではカーペンターズの『イエスタデイ・ワンス・モア』などが街には流れ、森進一の『襟裳岬』がレコード大賞を、八代亜紀の『愛ひとすじ』が有線大賞を受賞した年でした。

 また、その後の1976年、郷ひろみの18枚目のシングル『あなたがいたから僕がいた』(作詞:橋本淳/作編曲:筒美京平)は、この郷ひろみの最大のヒット曲『よろしく哀愁』をモチーフにした作品と言われています。コレも名曲ですね〜。

 そして、2004年には、「TOKIO」の長瀬智也が、自身も出演した「スバル・フォレスター」のCMソングとして歌ったことで、若い人にも知られるようになりました。同年、「TOKIO」のデビュー10周年記念に発売されたカバーアルバム『TOK10』に収録されています。

 とにかく、今聴いても、古さを感じさせない名曲です。

 ホラ、聴きたくなってきたでしょ…? 

(2019年10月 西山 寧)

『よろしく哀愁』歌詞を見る


郷ひろみ 歌詞一覧
作詞:安井かずみ 歌詞一覧
作曲:筒美京平 歌詞一覧

1974年のヒット曲 タイムマシン

収録CD「THE GREATEST HITS OF HIROMI GO」amazon

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