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色あせない昭和の名曲
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週刊・連載コラム「なつ歌詞」

時代を思い出す扉が 歌であってくれればいい … (阿久悠)

第2回  清水由貴子 「お元気ですか」(1977年)

お元気ですね しあわせですね…
お返事ないのは そうなのですね…
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清水由貴子 「お元気ですか」

清水由貴子「お元気ですか」 作詞:阿久悠、作曲:三木たかし、編曲:三木たかし
1977年(昭和52年)発売  7インチシングルレコード (45rpm) CBSソニー
NTV「スタ誕」で、後にピンク・レディーとなる二人をおさえてのグランプリを受賞し、14社からスカウトのプラカードが上がった清水由貴子、17歳でのデビュー曲。セールスは8.2万枚で、オリコン最高位も30位と、大ヒットにはならなかったが、多くの人の心に残る名曲。

 脳科学者の茂木健一郎氏によると、「所有する」ということは、脳科学的に言えば「身体感覚の延長」だそうです。つまり、所有しているモノは、「ジブンの体の一部のようなもの」とも言えます。だから、愛着を感じるのだそうです。
 その昔…、レコードを買って「ジブンのモノ」として持っているということは、無上の喜びでした。清水由貴子のLPレコードを、田舎の電気店を兼ねたレコード店で予約注文し、発売日に手にした後の帰り道でのワクワクしたキモチ…。ジャケットを開いて、ビニール袋から出して、プレーヤーに置いて、針を落とす…、その一連の手間は、幸せを感じさせてくれる時間でもありました。
 そういえば、昔、町のレコード店では、買わないでも、どれでも試聴させてくれましたね。レコード店は、ワクワクする場所でした…。ちなみに、今の若者に「レコード!」と言っても、何のことやらサッパリわからないようですし、われわれの世代だって、「レコードプレイヤーを持っていてレコードを楽しむ」なんてヒトは、今ドキ、相当のマニアでしょう…。引っ越しやら何やらで、レコードを全て処分してしまったというヒトがほとんどではないでしょうか…。
 カセットテープが普及してからは、エア・チェックと。お気に入りの曲を集めた「マイ・テープ」を作ることが、間違いなく文化でした。相手の好みなどまるでお構いなしに、ジブンの好きな曲ばっかりを集めて作ったテープを「気になるアノ娘」に渡したりなんかして…、そんな、時には全くもって迷惑なコトをやってましてね…。
 しかーし、今や、レコードどころかCDですら無くなりつつあります。
 たしかに、お部屋の広大な領域を占拠していたレコードやCDの音源が、何千曲か何十万曲かわかりませんがスマートフォンやパソコンに入ってしまうということは、昔なら想像すら出来なかったコトであり、ホントに便利だと思いますが、しかし、デジタル配信のファイルという「カタチのないモノ」ではなく、場所もとるし、手間がかかるレコードやCDを「手で持った時の感覚」が忘れられません…。
 「カタチあるものを所有する喜び」…、その不便さや面倒臭さの中に、喜びや楽しく幸せな時間が、たしかにあったように思うのはワタシだけでしょうか…。
 そんな、1977年、山口百恵やキャンディーズなどを育てた元ソニーの酒井政利が手がけた、清水由貴子のデビュー曲「お元気ですか」は、大ヒットにはなりませんでしたが、ご存知、阿久悠の作詞、作編曲は、黛ジュンのお兄さんの「三木たかし」による名曲です。
 三木たかしは、荒木とよひさとのコンビで、テレサ・テンのヒット曲のほとんど、「時の流れに身をまかせ」「つぐない」「別れの予感」などから、「思秋期」「みずいろの手紙」「若き獅子たち」「津軽海峡・冬景色」「遣らずの雨」「夜桜お七」「乙女のワルツ」「想いで迷子」「北の螢」「心の瞳」「花の時・愛の時」「アンパンマンのマーチ」(思いつくままに書いてますから、とくに並びに意図はないです)まで、ホントにキリがないくらい数多くの名曲を残しています。
 とくに「お元気ですか」は、編曲も三木たかし自身が担当していて、「遠き山に日は落ちて」のようなイントロの、ハーモニカとストリングスだけで、もう泣いちゃいます(ベースもイイんですけどね)。
 1番では「お元気ですか? しあわせですか? お返事ください…」と歌い、2番では「お元気ですね… しあわせですね… お返事ないのは そうなのですね…」と、同じ言葉を使いながら時間の経過を表現するという、いかにも一流の職業作詞家らしいテクニックで、主人公の切ないキモチが伝わります。
 ややピッチがやや危うく、「ください」が「くだたい」になりがちな舌ったらず気味な清水由貴子ですが、あれほど明るく素直な発音で、あれほど素朴に歌う歌手は、そうはいません。だからこそ、楽曲の良さが響いてくるのではないでしょうか…。まあ…ほとんど知る人はいないと思われますが、ワタシは、1978年発売の5枚目のシングル「多感日記」も好きです。
 ちなみに、「お元気ですか」は、同じく「スタ誕」出身で、当時の事務所の先輩でもあった岩崎宏美が、2014年のカバーアルバム「Dear Friends Ⅶ 阿久悠トリビュート」の中でカバーしています。さすが、ヒロリン!

 ホラ、聴きたくなってきたでしょ…? 

(2019年10月 西山 寧)

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